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「こんなに早く」ラスカー賞受賞の山中教授 高まるノーベル賞への期待
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ラスカー賞の受賞が決まり笑顔で会見する山中伸弥教授(左)=14日午後3時21分、京都市左京区・京都大学(撮影・柿平博文) 世界を驚かせたマウスでの人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製から約3年。「ノーベル賞に最も近い賞」とされるラスカー賞を山中伸弥・京都大学教授(47)が早くも受賞した。

 14日に京都市左京区の京大で開かれた記者会見で「30年後、40年後にはあるかもしれないと思っていたが、こんなに早く受賞できるとは」と驚きを語った。

 一方、同席した京大の松本紘(ひろし)総長も「ノーベル賞は近いと思う」と話すなど、10月のノーベル賞発表に向け、周囲の期待は高まっている。

 「米国で研究した経験があるので、この賞の重さはわかっている。『まさか自分が』という思い」

 会見で山中教授は、時折笑顔をのぞかせつつ終始冷静に心情を語った。「何百人もの研究成果を基礎として利用させてもらっていて、その中で私だけが受賞するのはフェアではないという思いもある。今後もそういう気持ちを忘れずにいたい」と謙虚な姿勢をみせた。

 共同受賞した英ケンブリッジ大のジョン・ガードン博士(76)とは、年に1~2度は会っているといい、「年は親子ほど離れているが、アクティブに研究を続けられていて尊敬している。(共同受賞は)格別の思い」。一方で、念願の実用化に向け「患者のために役立てることが目的。それには全然いたっていないので、何とか早く達成したい」と表情を引き締めた。

 今回の受賞で、ノーベル賞への期待が一層高まった。松本総長は、ラスカー賞受賞について「その道の先駆者としての地位を明確に表明していただいたと誇りに思っている」とし、「ノーベル賞に十分値する研究で、実現に近づいた」と話した。





iPS細胞   
神経や内臓など、さまざまな組織に成長できる新型の万能細胞。再生医療の有力な切り札として期待されている。2006年に京都大の山中伸弥教授がマウスでの作製を発表。07年には山中教授と米国の研究者がヒトでの作製を同時に発表した。当初の手法では皮膚細胞などに入れる四つの遺伝子にがん遺伝子が含まれていたほか、遺伝子の運び役にがんを起こす恐れがあるウイルスを使うなど、安全性に問題があった。このため、遺伝子を減らしたり、より安全な運び役を使ったりする手法の開発が行われている。


ノーベル賞
スウェーデンの化学者アルフレッド・ノーベルの遺言に基づき、遺産をノーベル財団が運用し、一九○一年以来、物理学、化学、医学生理学の自然科学部門三賞と、文学賞、平和賞に分けて授与。経済学賞は六八年、当時のスウェーデン中央銀行が新設した。平和賞だけは団体への授賞もあるが、ほかはすべて個人が対象。二○○○年の賞金は約一億円。選考組織は分野ごとに違い、自然科学三部門と文学賞はスウェーデンの学術団体、平和賞はノルウェー国会が選任する委員会が行う。(共同)

by momotaro-sakura | 2009-10-03 10:46 | ブログ