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日銀短観改善も…消費不振「打つ手なし」

日銀短観改善も…消費不振「打つ手なし」 2009.10.1


エコノミスト3人の見方 9月の日銀短観からは、景況感の大幅な改善に対し、実際には、足下の景気回復に自信を持てずにいる企業の姿が浮かび上がる。消費や設備投資の深刻な低迷が先行きに影を落とすほか、業界によって、改善に温度差がみられることも不安をあおる。政策効果による需要の維持には限界もあり、日本企業の経営は厳しい局面に入った。


需要先食い

 「景気回復はおそらく来年後半あたり。それまではエコポイントのような政策の後押しがほしい。今やめられたら影響が大きい」(日立製作所)。大手家電メーカーからはこんな本音が漏れる。

 エコポイントで、薄型テレビや冷蔵庫の需要は拡大した。日立製作所は今年度上期の出荷台数が、計画を大きく上回った見通しだ。だが、政策効果がはがれた場合に需要を維持できる保証はない。

 自動車業界も、販売回復を反映して、トヨタ自動車は10月から期間従業員の採用を再開し、採用人数を当初計画の2倍の1600人に増員した。エコカー減税と、新車買い替え補助制度の政府支援策の恩恵を受けた対応だ。ただ、電機と同様に、今の需要が「先食い」であることを警戒し、契約期間は、従来の最長2年間より短い4~6カ月にとどめている。

 それでも、電機や自動車は、政策効果を受けただけでもいい方だ。
日本鉄鋼連盟の宗岡正二会長(新日本製鉄社長)は「国内需要は建設、機械の回復の足取りが大変重い」と肩を落とす。中国などアジア向け輸出は回復しているが 国内消費の予想外の落ち込みで、企業の設備投資意欲が大きく後退しているからだ。


消費不振

 大手百貨店5社が1日発表した9月の既存店売上高は、三越が前年同月比7.5%減、伊勢丹が10.9%減、高島屋も9.5%減など、全社ともに大幅なマイナスになった。

 大型連休で客数が伸びたにもかかわらず、高額品の販売や秋冬向けの紳士・婦人服の販売が伸び悩んだ。

 高島屋の鈴木弘治社長は「経済成長がプラスに転じても、個人消費が伸びる状況にない。向こう1~2年は厳しい(消費)環境が続く」とみる。三越の石塚邦雄社長も「売り上げ反転の解決策が見当たらない」と、打つ手を失っている。


中小企業は

 東京都大田区で継ぎ手の設計・製作などを手がける三輝の阿部雅行社長は「仕事は忙しいが、値上げもできず利益は薄い。コスト削減をしてぎりぎり食べていける状況だ」と訴える。

 融資の返済を猶予する「モラトリアム法案」に対しても、過度な期待はない。東京都台東区で食品加工機械を開発・製造する梶原工業の梶原徳二会長は「一時的に返済猶予したとしても、将来は楽観できない。商売をずっと続けられるようにする方が重要だ」と、抜本的な経済対策を求めるが、中小企業が置かれた経営環境の厳しさは、大企業の比ではなく、先行き不安は大きい。

by momotaro-sakura | 2009-10-03 13:40 | ブログ