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北陸新幹線2014年度開業に暗雲

北陸新幹線2014年度開業に暗雲
知事、国・機構に不信
 県が北陸新幹線(長野―金沢間)整備事業の地元負担金の支払いを拒否したことで、国や沿線自治体からは17日、2014年度末の開業目標への影響を懸念する声が相次いだ。一方、県は同日、事業者の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」に支払いの拒否を正式に通告し、対決姿勢を明確にした。

 泉田知事は同日、報道陣の取材に対し、「(国側に)情報を出してほしいとお願いしている中で、追加工事の認可が強行され、請求書まで来た。やるべき事をやらずに既成事実だけを積み上げるやり方は信頼関係を維持できない」と述べ、同機構を改めて批判。今後の国側への対応を問われると、「まずは県民に説明できるような情報開示をして欲しい」と従来の主張を繰り返した。

 支払い拒否と併せて県は、支払いのルールを定めた同機構との協定を破棄することも、同機構に伝えた。協定は県が負担金の請求を受ける根拠となっており、破棄する理由について、県交通政策課は「機構との信頼関係が崩れたため」と説明。一方、同機構広報課は「現時点では県から正式な申し入れを受けておらず、コメントは差し控える」としている。

 こうした県の対応に、前原国土交通相は閣議後の記者会見で、「北陸新幹線は新潟だけの案件ではなく、長野や富山、石川にも関係する。新幹線先行県として、他県への思いやり、配慮をもってもらえればありがたい」と注文を付けた。泉田知事が「県の質問に国側の回答がない」と批判していることには、「質問には繰り返し真摯(しんし)に答えている」と反論した。

 ■富山・石川知事ら慎重な対応促す

 北陸新幹線建設促進同盟会長の石井隆一・富山県知事は、「14年度末までの金沢開業は沿線県民の悲願であり、悪影響を与えることがないよう賢明な判断をしてほしい」と慎重な対応を促した。谷本正憲・石川県知事は「14年度末の開業は、太平洋側から日本海側に大動脈がつながるという意味で、石川県だけの課題ではない。解決策を見いだしてほしい」と求めた。

 県が今回支払いを拒否したのは、今年度の負担金約121億円のうち16日に請求された約13億円。県では今年度内に、この13億円を含む計約104億円の負担金の支払いを控えていたが、同課は「問題が解決するまで、支払いの執行は、全額なされないだろう」としている。

 ■国交省、入札改善など通達へ

  北陸、北海道、東北新幹線の沿線6道県の担当者を集めた連絡会議が17日、国土交通省で開かれ、同省担当者が来年度の整備新幹線の事業計画を説明した。泉田知事が北陸新幹線建設費の地元負担金の支払いを拒否している問題にも触れ、沿線各県で意見交換するよう要請した。

 会議で、同省側はこれまでの同県との交渉経過を説明。泉田知事が「工事費増額の根拠が不明確」「落札率が高すぎる」などと指摘して支払い拒否に至ったことから、反論資料を示して「新幹線工事全体の落札率は80%台で低下傾向にある」などと説明した。

 入札の改善策として、落札率や応札者数、工事費の増額状況を、四半期ごとに国と関係自治体に報告するよう、事業者の独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」に通達を出す方針も明らかにした。

 会議後、同省幹部は「(支払い拒否は)想定を超えた対応。新潟県の意図をよく確認して丁寧に対応したい」と述べた。2014年度末の北陸新幹線開業を望む点で各県とも一致していることから、「新潟県に考えを変えてもらえると期待している」とも語った。

(2009年11月18日 読売新聞)
by momotaro-sakura | 2009-11-18 14:47 | ブログ