人気ブログランキング | 話題のタグを見る

事業仕分け終了、予算編成で曲折も 反発省庁、判定見直しに躍起

事業仕分け終了、予算編成で曲折も 反発省庁、判定見直しに躍起2009/11/28
印刷するブックマーク:..
事業仕分けが終了し、年末に向けて予算編成作業が本格化する=27日午後、東京都新宿区
 政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)は27日、2010年度予算の概算要求の無駄を削減する「事業仕分け」の作業を終えた。今後は事業仕分けの結果に加えて、財務省が本格化する予算査定で3兆円の削減を目指すが、要求省庁の反発もあり、仕分け結果がどれだけ予算編成に反映されるかは不透明だ。政治主導の象徴である事業仕分けが単なる「政治ショー」に終わってしまうのか、それとも実効性のある画期的な試みとの評価を得ることができるのか。その真価が問われるのはこれからだ。

 ≪「菅裁定」に意強く≫

 仕分け結果は30日に刷新会議の親会議に報告、最終決定が行われる。刷新会議は仕分けの対象となっていない類似事業にも仕分けの結果を適用して「横ぐし」を通す作業を各省庁に要請しており、それに沿った予算編成を財務省に求める方針だ。

 予算編成の実務部隊である財務省は「最終決定に従って予算編成を行う」(藤井裕久財務相)として、刷新会議の意向を最大限反映する姿勢を見せる。そこには、一般公開で実施された仕分け作業の結果を「錦の御旗」に、概算要求を大幅圧縮したいとの本音が見える。

 10年度予算編成をめぐっては、概算要求が過去最大の95兆円超に膨らむ一方、景気低迷で税収は38兆円以下に落ち込む見通し。政府は10年度の新規国債発行額を44兆円以下に抑えたい考えで、政府は仕分け作業と予算査定を通じて3兆円以上の概算要求の削減を目指している。

 ただ、仕分け結果には法的拘束力がないため、どう権威付けし、実際の予算編成にどれだけ反映させるのかなどは依然として不透明なままだ。

 それを見透かすように各省庁では判定を覆そうという動きも激しさを増している。

 「事業を再設計して出直したい」。経済産業省の近藤洋介政務官は、仕分けで「見直し」と判定された中小企業の経営相談などに応じる「地域力連携拠点」を整備する事業について、予算を組み直して財務省に再度要求すると“宣言”した。

 次世代スーパーコンピューターの開発をめぐっては、事実上凍結との判定が出たにもかかわらず、文部科学省や科学者らの猛反発を受け、科学技術を担当する菅直人副総理・国家戦略担当相が早々と判定の見直しを表明。これに意を強くした各省庁からは「政治家レベルで議論をやり直したい」(長島昭久防衛政務官)と閣僚折衝などを求める声が強まっている。

 鳩山首相は、仕分け結果を予算編成にどう反映させるかは「政治判断による」と、判定の見直しを示唆している。藤井財務相は「(復活折衝は)ほとんど考えられない」としているが、各省庁の閣僚ら政務三役が政治判断を迫るケースが増えれば、皮肉なことに今度は「政治主導」の名の下に仕分け結果がなし崩し的に覆されかねない。

 ≪2次補正越年も≫

 一方、政府はマニフェスト(政権公約)の主要事業の予算圧縮や雇用、景気対策を盛り込んだ09年度第2次補正予算の策定も同時並行で進めている。

 政治主導を掲げる鳩山政権では政務三役が編成作業の細部に関与するため、国会延長で閣僚らが国会審議に拘束されれば作業の停滞は避けられず、編成作業が一層窮屈になる。政府は年内編成を目指しているが、仕分け結果をめぐる政府内の調整が難航すれば、「越年編成」に追い込まれるとの見方もある。(橋本亮)
by momotaro-sakura | 2009-11-29 10:33 | ブログ