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白血球減少症

白血球減少症
leukopenia 末梢血液白血球数が5000/mm3以下の減少した場合。
健常者でも3000/mm3台の事がある。
減少する白血球の種類によって
  好中球減少症(neutropenia)
  好酸球減少症(eosinopenia)
  リンパ球減少症(lymphppenia)
などに分けられる。
原因 放射線や抗ガン剤投与などで起きる。
がんの化学療法の副作用で減ってしまう白血球を増やす薬剤が「ノイアップ」(ナルトグラスチム)
白血球増加と白血球減少


 白血球は、体内に進入した細菌や異物を取り込み、消化分解し、体を守っています。白血球数は1日のうちでも生理的に変動しており、血液1μl中に4000~9000個くらいあります。健常人の血液中には好中球(こうちゅうきゅう)、好酸球(こうさんきゅう)、好塩基球(こうえんききゅう)、単球(たんきゅう)、リンパ球の5種類の白血球の細胞があり、これらの細胞の増減についても問題になります。



●白血球増加(はっけっきゅうぞうか)



どんな病気か・原因は何か
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 白血球は、感染症や炎症、アレルギーなどによって反応性に増える場合と、白血病(はっけつびょう)や骨髄(こつずい)増殖性疾患などの腫瘍によって増える場合とがあります。最も頻度が高いのは細菌による急性感染症で、好中球が増えます。アレルギーや寄生虫感染症では、好酸球が増えます。10代後半~20代の若い男女がかかりやすいEBウイルスによる伝染性単核球症(でんせんせいたんかくきゅうしょう)では、リンパ球の増加がみられます。なお、副腎皮質ステロイド薬などの薬剤で、好中球が増えることもあります。
 また、がんが骨髄に転移すると骨髄と末梢血のバリアが破壊され、幼弱(分化していない若い細胞)な白血球や赤芽球(せきがきゅう)が末梢血に現れ、白血球数が増えるため類白血病(るいはっけつびょう)反応と呼ばれていますが、本当の白血病細胞はみられません。
 そのほかまれですが、ある種のがんがつくる造血因子により白血球の増殖が刺激され、増えることもあります。


白血球増加と白血球減少に気づいたらどうする

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 白血球増加を指摘された場合、感染症や炎症性疾患、アレルギーなどの原因がはっきりしていれば、それぞれの担当科で原因疾患の治療を行います。原因疾患がはっきりしていない場合は、白血病などの重い疾患である可能性もあるため、血液内科への受診が必要です。
 しかし、健康でも基準値からはずれる人もあり、白血球数が多いことが必ずしも異常でないこともあります。また、運動、寒冷、精神的ストレス、妊娠などにより白血球が増えることもあります。


関連項目
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 急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、小児急性白血病、慢性骨髄性白血病、真性多血症、原発性血小板血症、骨髄線維症、慢性リンパ性白血病、伝染性単核球症



●白血球減少(はっけっきゅうげんしょう)



どんな病気か・原因は何か
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 白血球の大半は好中球とリンパ球が占めているので、白血球の減少で主に問題になるのは好中球の減少とリンパ球の減少です。
 好中球は表8に示すように、骨髄における白血球産生能力が低下した場合、白血球の成熟障害により異常な白血球がつくられるために途中で死んでしまう場合(無効造血)、白血球の破壊が亢進した場合、白血病などの腫瘍性疾患により造血幹細胞が損なわれた場合などに減ります。500/μl以下に減ると細菌や真菌による重症感染症を発症する危険が高くなります。
 好中球が0に近い状態にまで減少したものを無顆粒球症(むかりゅうきゅうしょう)と呼びます。顆粒球とは好中球、好酸球、好塩基球ですが、大半が好中球のためにこのように呼ばれます。
 また、リンパ球は、後天性免疫不全症候群(こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)(エイズ)や副腎皮質ステロイド薬の投与で減り、著しく低い場合は日和見感染(健康な人には感染症を起こさない弱毒の病原体による感染症)が問題になります。


白血球増加と白血球減少に気づいたらどうする

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 かぜなどのウイルス性疾患でも白血球数は少なくなるので、必ずしも恐い病気ばかりではありませんが、白血球が少ないといわれた場合は、血液検査で白血球分類を調べてもらいます。好中球やリンパ球が極端に少ない場合や貧血、血小板減少がある場合は血液内科への受診が必要です。
 しかし、健康でも基準値から外れる人もあり、白血球数が少ないことが必ずしも異常でないこともあります。



●無顆粒球症(むかりゅうきゅうしょう)



白血球増加と白血球減少はどんな病気か

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 前項で述べた白血球減少のうち、とくに好中球が著しく減った場合を無顆粒球症と呼びます。なお、顆粒球には好中球、好酸球、好塩基球がありますが、その大半は好中球です。


原因は何か
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 無顆粒球症の原因で最も多いのは薬剤性で、アレルギーとして起こる場合と骨髄抑制を来す抗がん薬などで中毒性に起こる場合があります。一般に無顆粒球症は薬剤によるアレルギー性の場合を指し、特定の人に発症します。
 原因となる薬剤としては、抗甲状腺薬、解熱鎮痛薬、抗生剤、精神安定薬などの頻度が高いのですが、抗血小板薬、抗潰瘍薬、降圧薬など一般臨床で使われているどのような薬剤でも起こり得ます。また、一度無顆粒球症を起こした薬剤は、再投与によってよりひどい症状が出るので注意が必要です。


症状の現れ方
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 抗がん薬など、本来の作用として骨髄抑制を来す薬剤で治療を受けている場合はしばしば血液検査が行われていることが多く、顆粒球減少の程度から、感染を起こしやすい時期を予想できます。
 しかし、普通は白血球減少を起こさない薬剤でアレルギー性に発症する場合は検査を受けていることは少なく、突然の発熱や寒気、のどの痛みなどの感染症症状が現れて、検査をした結果、無顆粒球症に気づく場合がほとんどです。


検査と診断
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 アレルギー性の場合は血液検査で赤血球や血小板に異常がなく、白血球(とくに好中球)の著しい減少がみられます。骨髄検査では顆粒球系の成熟細胞のみが消失しており、未熟な細胞や赤芽球(せきがきゅう)(赤血球系の若い細胞)、巨核球(きょかくきゅう)(血小板系の若い細胞)は残っています。
 一方、中毒性の場合は、貧血や血小板の減少もみられ、骨髄検査でも赤芽球や巨核球の減少がみられます。
 なお、細菌感染を合併している場合は、血液検査でCRPが上昇しています。重症の感染症が疑われる場合は、胸部X線検査(肺炎の場合)、尿の細菌検査(腎盂腎炎(じんうじんえん)の場合)、血液培養(敗血症(はいけつしょう)の場合)も必要になります。


治療の方法
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 原因となる可能性がある薬剤を中止します。感染症を合併している場合は、広域スペクトラム(いろいろな菌に効く)をもつ抗生剤を投与しますが、無顆粒球症の原因が抗生剤である場合は、使用する抗生剤を慎重に選択する必要があります。必要があれば顆粒球刺激因子(G―CSF)を注射します。
 また、骨髄検査の結果、回復に時間がかかると予想された場合は、フィルターを通して無菌の空気が流れてくる無菌ベッドを利用する場合もあります。


白血球増加と白血球減少に気づいたらどうする

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 血液検査をしなければ診断ができないため、薬を服用している間に高熱が出た場合は、必ず主治医に診てもらう必要があります。たとえば、抗甲状腺薬はのみ始めて1~2カ月後に無顆粒球症が起こる場合が多いといわれています。ほとんどの症例で顆粒球は自然に回復しますが、なかには長期に持続して、生命に危険なこともあるので、入院が必要になる場合がほとんどです。





(執筆者:日野雅之)

顆粒球減少症(好中球減少症)(かりゅうきゅうげんしょうしょう(こうちゅうきゅうげんしょうしょう)
Neutropenia


執筆者: 菊田敦
目次1.概要
2.病因
3.病態生理
4.臨床症状
5.検査成績
6.診断・鑑別診断
7.治療
8.予後
9.参考文献



概要 顆粒球減少症は通常、好中球減少症と同義語として用いられており、末梢血中の全白血球数に分葉核好中球と桿状球の比率を乗じた好中球絶対数の減少状態である。 生後2週から1歳の乳児では好中球減少症の判断はANC 1,000/μL未満であり、1歳以降は通常、ANC 1,500/μL未満の状態と定義される。感染に対する相対的危険度により、軽症1,000~1,500/μL、中等症500~1,000/μL、重症500/μL未満に分類される。重症感染症の発生率が高いのは、ANC 500/μL未満の場合であり、急性で重症状態が数日以上続く場合には致命的感染症のリスクが高くなる。



病因数日間で進行する急性好中球減少症は、産生障害か末梢での利用または破壊の亢進によることが多い。慢性好中球減少症は好中球減少が6カ月以上持続する場合であり、産生減少あるいは好中球の脾臓による捕捉過剰から生じる。 骨髄の骨髄系細胞に対する外因的要因に続発したものか、あるいは骨髄系細胞の内因的異常により発症したものかにより、外因性と内因性に分類される。



表1. 好中球減少症の分類



病態生理この病態群には多様な基礎疾患が含まれてくるので基礎疾患の相違により、それぞれの病態生理は異なってくるが顆粒球減少に起因する易感染性が共通する病態である。



臨床症状頻度の高い化膿性感染症は皮膚蜂巣炎、皮下膿瘍、フルンケル症、肺炎、敗血症である。口内炎、歯肉炎はしばしば慢性的であり、特に小児では、肛門周囲の炎症と中耳炎をよく認める。 しかし、好中球減少症のみでは、ウイルス感染、真菌、寄生虫および細菌性髄膜炎には罹患しにくい。内因性細菌が起因菌として最も一般的であるが、院内感染を起す種々の細菌もまたしばしば原因となる。 

頻度の高い分離菌は黄色ブドウ球菌とグラム陰性菌であり、一般に局所所見は好中球減少がない者に比べて不明瞭である。つまり侵出液、波動、潰瘍形式、局所リンパ節腫脹などの局所の感染症に伴う症状、所見を認めることは少ない。重症好中球減少症の患者においても、細菌感染症の徴候は基礎疾患によりまちまちである。例えば、自己免疫が関与した慢性好中球減少症では、長年に渡り好中球数200/μLあるいはそれ未満であっても重症感染症の既往歴はないことが多い。これは、これらの患者の骨髄造血能が正常であり、多くの慢性好中球減少症の患者では単球数が増加しており、感染防御の役割を担っているためである。また症状出現の頻度と期間は重要であり、歯根膜炎、歯膿瘍、歯の喪失は慢性で、再燃性の好中球減少症の重要な所見である。



検査成績好中球単独の減少で他の血球系の異常がなく、何の臨床的症状もない場合は、すべての治療を中止し数週間経過観察することが最もよい方法である。発熱を有する中等症、重症の好中球減少症で急性細菌感染症が疑われた場合には、迅速な評価と治療が必要である。血液培養を含む各種培養検査を実施し、原因菌の同定に努め、抗生剤感受性を確認する。好中球減少が遷延する患者では、白血球数と分画を週2~3回、6~8週間測定し、周期性の有無を評価する。クームス試験、血清γ-グロブリン値、T細胞検査(CD4, CD8)、HIV抗体価を測定する。必要があれば骨髄検査も追加する。状況により抗好中球抗体、膠原病の評価を行い、身体所見により骨X-p、膵外分泌能を評価し、葉酸、Vit B12を測定する。



診断・鑑別診断好中球数1000/μL未満の場合は、図1に示したアルゴリズムに添って注意深く観察する。好中球減少症のある患者では、既往歴、奇形などの身体所見の評価を十分に行い、現時点の細菌感染症の有無、リンパ節腫大、肝脾腫、慢性炎症に伴う他の徴候について観察し、最近の感染歴と薬物への曝露について確認する。



図1. 好中球減少症のためのアルゴリズム



治療好中球減少症の管理は、原因と好中球減少の重症度により異なってくる。好中球減少患者において最も重大なことは重症化膿性感染症への進展であり、Kostmann症候群、再生不良性貧血および化学療法後など、骨髄造血の予備能低下を伴う重症好中球減少症(ANC<500/μL)は感染症の重症化や敗血症発症の高リスク群である。このような患者では好中球数が低下しているために炎症所見に乏しく、発熱が感染症の唯一の指標であることが多い。 

造血予備能低下のために好中球減少症となっている場合には、速やかに広域抗生物質を開始し診断が確定するまで使用する。解熱し血液培養が陰性化しても、解熱後3日間はその抗生剤を使用する。広域抗生物質の投与にもかかわらず発熱が7日間以上持続する場合には真菌感染の可能性が高く、抗真菌剤による経験的治療を開始する。明らかな真菌感染または細菌感染があり、治療に対して反応不良であれば顆粒球輸血も考慮する。 慢性良性好中球減少症のように骨髄造血能が保たれている場合には、全身状態が良い限り外来治療が可能である。 

自己免疫が関与している場合にはステロイド剤やγ-グロブリン療法が有効なことがあるが、効果は一定しない。脾摘の効果は一時的であり、さらに重症感染症のリスクを伴うので推奨できない。G-CSFおよび他の造血因子は、重症先天性好中球減少症、周期性好中球減少症および免疫性好中球減少症など、種々の好中球減少症において広く有効性が認められている。また、重症先天性好中球減少など骨髄造血能低下に由来する慢性好中球減少症で、重症感染症に進展するリスクが高い場合には、長期的な予防投与の有効性も認められている。しかし、G-CSF製剤の使用は、自己免疫性好中球減少症のように感染症があっても、全身状態に問題がなければ使用は控え、重症の場合に限られる。 抗生物質の予防投与の効果は議論の余地があるが、ST合剤は細胞性免疫不全におけるカリニ肺炎の予防に効果的であり、重症好中球減少が長期に続く場合は、細菌感染症の頻度も減らす。



予後悪性腫瘍、抗癌剤化学療法または免疫抑制療法に伴う後天性一過性好中球減少症においては時に敗血症が原因となり死亡することがある。感染症の早期診断と早期治療を行えば死亡は回避できると考えられている。慢性好中球減少症の軽症あるいは中等症の好中球減少症における表在性感染症は適切な抗生剤の経口投与により治療できる。しかし、致死的感染症の場合は広域抗生剤の速やかな静脈内投与が行われなければ死亡に至る場合もある。つまり、感染症に対する治療が予後を左右し、基礎疾患を有するものに対しては、それらに対する治療も同時に施行する必要がある。特に重症化膿性感染症を合併している場合には発熱性好中球減少症のガイドラインに準じ、速やかな治療開始が重要であり、治療の遅れは死亡率の増加に直結する。

単球(たんきゅう)
白血球の成分の1種であり、白血球の3~8%を占め、感染に対する防衛の開始に重要な細胞です。細菌などの異物を細胞内に取り込み、消化し、異物の一部を細胞表面に提示します(抗原提示)。これをT細胞が認識して、体の防衛が開始されます。単球は血管外の組織に移動すると、マクロファージ(大食細胞)と名前を変えます。

by momotaro-sakura | 2009-12-05 12:48 | ブログ