トヨタ株主総会 新成長戦略にかじ 章男社長 現地人材を抜擢

トヨタ株主総会 新成長戦略にかじ 章男社長 現地人材を抜擢
2010.6.25 00:36
 トヨタ自動車の株主総会が24日、愛知県豊田市の本社で開かれた。就任1年を迎え、議長として初めての株主総会に臨んだ豊田章男社長は、リコール(回収・無償修理)問題について株主に陳謝したうえで、攻めの経営に転じる姿勢を強調した。だが、業界他社の追い上げで相対的な地位は低下し、信頼回復の道は険しい。創業家社長の真価が問われるのはこれからだ。(高橋寛次)

 「品質や安全性に関してご心配をかけ、おわび申し上げる」。総会の冒頭、リコール問題について陳謝した豊田社長は「やっとスタートラインに立てた。新たな成長戦略にかじを切る」と言葉を続けた。

 ■経営のグローバル化

 就任1年を「一瞬たりとも気を抜くことができなかった」と振り返った豊田社長。リコール問題が報道された当初は公の場に姿をみせる機会が少なく、「説明責任を果たしていない」と批判された。社内にも「社長を傷つけたくない」との空気があった。

 逆風が続いたトヨタにとって、潮目がはっきりと変わったのは5月、2期ぶりの黒字を計上した平成22年3月期連結決算の発表だった。米EV(電気自動車)ベンチャー、テスラ・モーターズとの電撃的な資本・業務提携の発表や、中国やブラジルで凍結していた新工場建設計画の再開も決めた。

 これまで課題といわれた経営のグローバル化にも踏み込もうとしている。24日には本社から出向した日本人トップに代わり、海外事業体のトップに現地の人材を積極的に登用する方針を発表した。7月に米テキサス州とインディアナ州の生産子会社でそれぞれ生え抜きの社長が誕生するほか、欧州でも現地統括会社の社長に初めて欧州出身者を抜擢(ばつてき)する。トヨタ株主総会 新成長戦略にかじ 章男社長 現地人材を抜擢

 ■求心力の成果は

 トヨタが「攻め」に転じた背景として、米議会での公聴会やその後のリコール問題への対策で陣頭指揮を執った豊田社長の求心力の高まりを指摘する声は多い。「社長を中心に一枚岩で立ち向かう体制ができた」(トヨタ幹部)、「強いリーダーシップで難局を打開できた」(市場アナリスト)との見方だ。

 この日の総会は、米議会公聴会後に涙を見せたことについて豊田社長が「守ろうとした人に守られたことがわかったとき、涙が出た」と答えるなど、なごやかなムードに終始した。

 ただ、トヨタを取り巻く環境は依然厳しい。米調査会社が6月に発表したブランド別自動車品質調査では、前年の6位から21位に急落した。日産自動車のEV戦略や、日米欧メーカーが新興国で展開する小型車戦略など、トヨタが成長戦略を託す「環境」「新興国」の両分野での競争は激化している。

 「チャレンジ精神、意思決定のスピード、柔軟性を学ぶこと」。テスラとの提携の狙いについて、豊田社長はこう答えた。復活途上にあるトヨタの経営トップが「攻め」の姿勢でどのような実を結ぶのか、まだみえてこない。
産経ニュース
by momotaro-sakura | 2010-06-25 05:11