技術立社特集――日本の未来、技術で開く、政府、スター研究者に集中投資。(2010/8/30)

技術立社特集――日本の未来、技術で開く、政府、スター研究者に集中投資。(2010/8/30)
産業界の期待高まる

 新型万能細胞(iPS細胞)、半導体、計測機器、がん治療――。日本の強みである最先端の科学技術力を生かし、産学官が連携して新市場に挑み始めた。企業や大学は自らのスター研究者のためにのびのびと研究する機会を整え、研究者も潜在能力を解き放つ。組織と個人の相乗効果で、日本の将来を開く。

 政府は、30人の一線研究者に集中投資する「最先端研究開発支援プログラム」を今春始動した。助成額は総額1100億円の大型計画。企業研究者や大学、公的機関の研究者らが豊かなアイデアや研究成果を持ち寄る。

 最も助成額が多いのは、日立製作所の外村彰フェローと京都大学の山中伸弥教授。いずれも将来のノーベル賞候補と目される著名研究者だ。それぞれ50億円の配分を受け、7月にはさらに各12億円が追加さ・・・ (新聞本文はまだ続きます)


(記事は本文の一部を掲載しています。)
[日経産業新聞]
[提供:日経テレコン21]


10代のための「学び」考
外村 彰
(株)日立製作所フェロー 日本学士院会員
壁に突き当たったときの
“原因探し”や“謎解き”が研究の醍醐味

 DNAや原子はもちろんのこと、0.5オングストローム(1億分の5㎜)というミクロの世界の観察を可能にし、だれも見たことのない高温超伝導体中の磁束量子の観測を実現させた「1MVホログラフィー電子顕微鏡」。この世界最高の性能を誇る電子顕微鏡の開発に成功し、物理学の常識を塗り替える数々の業績を残してきた外村彰氏。その原点は幼少期に抱いた好奇心にあったという。



「電子の波を見たい」と物理の道へ

 思い起こせば、小学校のころから自然現象を見ることが大好きでした。自然の面白さを教えてくれたのは担任の先生です。先生に連れられ自然観察に出かけ、昆虫に近付いてそれらが動く様子を観察したり、川の流れを眺めたりしたことを覚えています。外で遊ぶことが好きでしたが、体が弱かった私は家で寝ていることもよくありました。そんなときでも天井の美しい木目を眺めたり、雨の日は庭の水と雨粒がそこにつくる波紋を見たりしては、奇麗だなと思っていました。
 中・高校時代になると、数学や物理のように答えのはっきり出る教科が好きになっていきました。物理では、太陽や月がどんな動き方をしているのか、飛行機から飛び降りたらどんな速さで落ちていくのかといったことが、たった一つの法則で計算によって正確に予測できます。私は、それがとても面白かったのです。中でも大学3年生のときに習った量子力学にとても魅力を感じました。電子は粒子だと思っていたのですが、授業で「電子は波だ」と教えてもらい、「本当に電子が波ならば、その形をこの目で見たい」と考えるようになりました。少年のときに見た水溜まりの波紋のような美しさがあるのではないかと思ったのです。
by momotaro-sakura | 2010-09-02 09:13