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【朝鮮半島ウオッチ】まるで19世紀 中国への「属国化」が顕著な北朝鮮 後継体制もお伺い?

【朝鮮半島ウオッチ】まるで19世紀 中国への「属国化」が顕著な北朝鮮 後継体制もお伺い?
2010.9.4 07:00
 北朝鮮の金正日体制による中国への従属度が、著しく高まっている。さきの首脳会談で胡錦濤・中国国家主席の改革・開放要求は金総書記に有無をいわせない内容だった。中国は10月、中朝国境の鴨緑江にかかる大橋の建設(総工費約150億円)に着工、北朝鮮が中国東北部の経済圏に組み込まれていくのは確実な情勢。後継人事の党代表者会を目前に訪中した金総書記の行動に「19世紀の冊封(さくほう)体制を彷彿させる」という専門家もいる。(久保田るり子)


北朝鮮は中国東北部の第4省?

 金総書記が訪問した吉林、長春は、昨年8月、中国が発表した「長吉図(長春、吉林、図們江)開発計画」の主要都市だ。計画は東北3省(吉林省、黒龍江省、遼寧省)一帯の7万平方キロ(人口約1100万人)を物流・工業基地として開発、2020年までに現在のGDP(国内総生産)約3兆元(約38兆円)を4倍に増やそうという壮大なもの。

 金総書記はその基地都市の鉄道公司、化学繊維、食品・農業プロジェクトなどの視察に多くの時間を費やし、地方幹部と面会した。食糧など中国の対北援助は、政府の指導下で実際は東北3省の地方政府が行っており、幹部面会は支援獲得の目的もあったとみられている。

 中国政府は開発に北朝鮮を組み込み、中国から北朝鮮北東部の港、羅津に至る日本海ルートの確立を目指している。中国は昨秋、羅津港の10年間の使用権を確保した。将来は中国製品が北朝鮮の咸鏡北道を通じ羅津港(日本海)から世界に出ていくという中国シーレーン構想で、日韓両国の安全保障にも脅威となる。
 計画のカギを握っていたのは中朝をつなぐ橋。国境の鴨緑江には「中朝友誼橋」(1943年建設)があるが、老朽化が激しく、中国は新大橋建設を数年前から提案。昨秋、温家宝首相の訪朝で金総書記が「新鴨緑江大橋」(中国・丹東-北朝鮮・新義州)建設に合意した。

 羅津の使用権も大橋建設も、「北朝鮮の主権がかかわる」と北朝鮮が難色を示していた懸案だ。昨秋、中国提案を受け入れた背景には、国際的孤立のなかで後継づくりの準備を始めた金正日体制が、政治、経済ともに中国に深く組み入れられることを拒めなくなった事情が強く反映している。

 新鴨緑江大橋は3年後に完成の予定。「中朝友誼橋」だけでも、これまで北朝鮮の対外貿易の約50%をまかなってきただけに、新大橋の開通で飛躍的に中朝経済関係が増大、北朝鮮の中国依存度が増すのは明らかだ。

 8月末の中朝首脳会談後、中国側は胡錦濤氏が「政府が主導し、企業が主体となり、市場が運営し互恵・ウィンウィンを旨とする経済・貿易協力のを発展に務める」などと提案したことを明らかにしたうえで、「金正日氏は胡錦濤氏の意見に完全に賛同した」と断言した。北朝鮮側は「共同の関心事となる国際、地域問題に関して完全な見解の一致をみた」としただけで具体的なことは省いて発表した。ただ、中国側の熱烈歓迎ぶりを強調し、「朝中親善」を、24回も繰り返した。


北、「中朝は代を継いで親善」と高らかに報道

 金総書記が後継人事や世襲について胡錦濤氏に伝えたかどうかは不明だが、両国の官製メディアの報道ぶりは、双方の関心事をわかりやすく反映していた。


中国側は「金総書記は、(北朝鮮の核問題をめぐる)6カ国協議の早期再開を推し進め、朝鮮半島の緊張を緩和させることを希望している」と伝えたが、北朝鮮側は一切、このことに触れず、「胡錦濤氏は伝統的な中朝親善は高貴な財産であり、中朝親善を代を継いで伝えていくことは双方の責任と指摘した」と報道。中国側はまた、「胡錦濤氏は近く開かれる朝鮮労働党代表者会の成功を祈ると述べた」とした。

 「中国にとって、北の後継者は中国の意に沿うなら誰でもいいのではないか。中国の傘下に入ってくれればいい。現在の北朝鮮は中国東北部開発にとって金の卵だ。そういう意味で北朝鮮は(下関条約で清から独立をした)日清戦争以前の従属関係になりつつある」とみる韓国の歴史研究者もいる。

 李朝500年、さらには高麗時代も、朝鮮は中国に臣従(事大)の礼を取る冊封体制下にあり、主従の関係にあった。この時代、朝鮮の歴代の君主は、中国皇帝から朝鮮国王として「冊封」(位を与え、印を授ける)を受けた。

 党大会に代わる党代表者会開催を前に慌ただしく訪中した金総書記は、「中国に後継体制のお伺いを立てにいったようにみえる」(前出の研究者)

 金総書記の後継者決定(1980年)の時は、82年に金日成主席が中国を公式訪問、中国はこの世襲を事実上、容認した。しかし83年に金総書記が秘密訪中した際、金総書記は中国の改革・開放路線を批判。このため中国首脳部は、現在も金総書記にあまり好感を持っていないとされる。

産経ニュース
by momotaro-sakura | 2010-09-04 08:45 | ブログ