東芝・日立、純現金収支が高水準、今期、財務の安定性高める

東芝・日立、純現金収支が高水準、今期、財務の安定性高める。(2010/9/7)
 総合電機3社は2011年3月期も高水準の純現金収支(フリーキャッシュフロー)を確保する見通しだ。東芝は今期に1500億円(前期は1985億円)を確保するほか、日立製作所も約1000億円(同2677億円)になる見通し。今期は成長分野への投資を増やすものの、一定の純現金収支を維持し、財務の安定性を高める。

 純現金収支は営業活動で稼いだ現金から投資活動に回した現金を差し引いた金額で、企業が自由に使える資金額を示す。

 東芝の今期の営業キャッシュフローは4900億円と前期に比べ約400億円増加。利益増に加え、在庫管理徹底など運転資金の効率向上も寄与する。ただ、投資キャッシュフローが3400億円のマイナス(前期は2529億円マイナス)に膨らむことで純現金収支は前期に比べ減少する。

 東芝は余・・・ (新聞本文はまだ続きます)


(記事は本文の一部を掲載しています。)
[日本経済新聞 朝刊]
[提供:日経テレコン21]



 今回は、日本企業に浸透してきたキャッシュフロー(以下「現金収支」)の話です。2000年7月9日付の日経新聞によると、約100人の事業部長が集まる東芝の勉強会での最大のテーマは現金収支で、「これを理解できない人は幹部になれない」が合言葉だそうです。

 この現金収支は、主観的判断が入り込む会計上の損益と対比される「現ナマ」で捉えた企業の収支です。企業会計には実は2つの「流儀」とでも言うべきものがあり、これまでの流儀では、帳簿 the books の上では黒字 (be in the black) なのに借金が払えず倒産する、黒字倒産なる現象が見られました。

  なぜこんなことが起こるのでしょう。企業は商品を売った時点でそれを売上高、利益として処理する一方、入ってくるべき販売代金は、期限まで売掛金 accounts receivable という格好でケリがつくのを待ちますが、そこで本来の期限までに売掛金を回収できないと、資金繰りに窮する (experience a cash squeeze) 事態になるためです。

 期限が到来した債務 debts の弁済を要求されたら、その支払いは現金によるわけで、「会計上の利益、つまり計算上これだけ利益が上がるから、それで払います」と言っても相手にはされません。この点、日ごろから現金ベースで資金の収支を捉えていれば、こういう事態を招かずに済むわけです。換言すれば、従来の企業会計だと本人のみならず他人までも 会社の実力を見誤りかねない危うさがあるのに対して、現金ベースであれば、どれだけの現金を稼ぎ出しているのかという実力が示されます。

 現金収支というフィルターをかけて見ると、表向き企業が黒字経営を続け、体裁を取り繕っていても、内情が火の車であることが浮かび上がるものです。例えば大和総研の推計によると、1989年度から1993年度にかけて一部上場企業は過去最高水準の利益(つまり黒字)を享受していたけれど、純現金収支(後述)で見ると41兆円の赤字だそうです。実際、業績悪化が話題になった大手総合商社や自動車メーカーにつき、経済専門誌が会計上の損益と現金収支を対比したチャートを掲載したものを見ますと、現金収支の赤字が後日の最終損益 net income における赤字の先触れとなっているのがよくわかります。

 こうした流れに即して、上場企業 listed companies については、2001年3月期 fiscal year ending March 2001 から、連結キャッシュフロー計算書 consolidated cash-flow statement を開示することになりました。投資家はこれを見て、企業が分不相応な設備投資 capital expenditures をしており、現金ベースではもうかっていないのではないかと目を光らすことになります。理想的パターンは設備投資を本業で稼ぐ現金収入の範囲にとどめ、純現金収支において黒字を確保し、それをもとに配当をすることです。
by momotaro-sakura | 2010-09-10 08:48