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.社説:振興銀破綻 ペイオフ発動は当然だ
 日本振興銀行が金融庁に経営破綻(はたん)を申し出た。これを受けて金融庁は3日間の業務停止を命じるとともに、預金保険機構を金融整理管財人に選任した。振興銀の預金者へは「ペイオフ」が発動され、預金の払戻保証額は元本1000万円とその利子までに限定される。ペイオフ発動は1971年に預金保険制度が創設されて以来、初めてのことだ。

 バブル崩壊の過程で政府はペイオフを凍結し、銀行が経営破綻しても預金は全額保証する措置をとってきた。しかし、銀行の不良債権問題が収束に向かい、政府は05年4月にペイオフの凍結を本格解除した。

 ペイオフの凍結は、取り付け騒ぎの拡大による金融機関の連鎖的な破綻を防ぐための非常措置だった。金融危機が去った後は、銀行経営が放漫になるのを防ぐ意味からも、ペイオフが発動できるようにしておくことは当然のことだ。

 特に振興銀の場合、1000万円を超す預金の口座数と額も限定的で、また、預金は定期だけで、当座や普通といった資金決済用の預金は扱っていない。他の銀行からの資金の借り入れに際しても国債を担保として差し入れていたというから、金融市場への影響は限られている。

 さらに、振興銀が破綻に追い込まれた経過も考える必要がある。当初描いていた小口の中小企業向け金融がうまくいかず、ノンバンクからの債権買い取りや、グループ企業への融資に傾斜した結果だった。ずさんな融資や債権の買い取りによって傷口が広がり、債務超過に陥った。

 その過程で、木村剛前会長ら前経営陣が、金融検査を意図的に妨害する行為にかかわっていた容疑が浮上し、銀行法違反(検査忌避)で逮捕、起訴されている。

 こうしたいきさつをたどってきた振興銀を救済するために、税金での負担につながる公的資金を投入するという選択肢は、政府としても取りえなかったということだろう。

 振興銀の債務超過は、金融庁の検査の結果、判明したわけだが、ここまで経営状態が悪化していた実態が、なぜもっと早い時期にチェックできなかったのかという疑問は残る。

 木村前会長は、日銀出身で、竹中平蔵氏が金融担当相として銀行の不良債権問題に取り組んだ時期に、竹中氏のブレーンとして金融庁の顧問に就いていた人物だ。

 振興銀の設立過程も含めて、検査や監督が適正になされてきたのか、規制当局の対応も検証が必要ではないだろうか。

 振興銀の役職員の責任を追及するとともに、振興銀に対する金融行政に問題がなかったのかについても解明してもらいたい。
毎日JP



振興銀破綻、竹中平蔵氏「取材は一切お断り」
 04年4月に振興銀が銀行免許を取得した当時、第2次小泉内閣で経済財政・金融相だった竹中平蔵氏は10日、事務所を通じて「本件に対する取材は一切お断りさせていただいている」とコメントした。


 竹中氏は、振興銀開業後、木村被告が設立した会員制金融セミナー会社で講師を務めたり、木村被告が編集した金融雑誌の表紙で一緒に写真に写ったりするなど親しい間柄だったとされている。

(2010年9月10日12時51分 読売新聞)

by momotaro-sakura | 2010-09-13 15:59