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[日経新聞] 首脳外交で日本埋没を防げ

[日経新聞] 首脳外交で日本埋没を防げ (2010/9/22)
 国際社会での影響力は当然、国力に左右される。だが、日本の存在感がこれほど低下してみえるのは、長期の経済停滞だけでなく、首脳外交の空白によるところも大きい

 菅直人首相は22日、国連総会に出席するため、ニューヨークに出発する。オバマ米大統領と23日に会談するほか、国連総会でも演説する。

 尖閣諸島沖での衝突事件を巡り、中国側の強硬措置が相次ぎ、日中の対立が深まっている。首相は中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突してきた経緯も含め、日本の立場をきちんと説明し、国際社会の理解を得てほしい。北朝鮮やイランの核問題でも政府の方針を訴える好機だ

 首相は何を発信すべきなのか。その答えは、過去1年間の民主党政権の教訓の中にある。

 民主党が昨年9月に政権交代を果たし、鳩山由紀夫首相(当時)が国連での首脳外交の初舞台に登場したとき、国際社会は拍手で迎えた。しかし、期待はすぐ失望に変わり、いまや日米同盟よりも米韓同盟のほうが強固だという声すら聞かれる。

 その主な原因は2つ挙げられる。第一に、「対等な日米関係」の掛け声だけが先走り、不用意な言動によって日米同盟を揺るがした民主党政権の外交の未熟さ。第二に、そうした迷走が、日米同盟をアジア安定の礎と考える韓国や東南アジア諸国にまで不安を広げたことだ。
 安全保障政策の全体像を明確に示さず、日米同盟をきちんと維持できないような政権では、同盟国や友好国の信用を得られない――。首相が胸に刻まなければならないのはこんな教訓だろう。

 だとすれば、首相がニューヨークで各国首脳に伝えるべきことも明白だ。政権交代後の迷走から教訓をくみ取り、今後は強い日米同盟を堅持し、アジアの安全保障のためにも積極的に貢献していく。首相はこうした姿勢を印象づける必要がある。

 尖閣諸島問題への対応でも米国との緊密な連携が欠かせない。スタインバーグ米国務副長官は講演で日中の対話を促したが、尖閣諸島は日本固有の領土であり、安全保障条約を締結している同盟国の日米間で、今回の事件への対応をしっかり擦り合わせるべきだろう

by momotaro-sakura | 2010-09-22 11:21