中国レアアース鉱山が続々閉鎖 日本経済の命綱に供給不安




総額5兆円超の追加の緊急経済対策を決定(10/08 11:50)


【新成長戦略の推進・加速=0.3兆円程度】

・権益獲得、代替品開発などのレアアース対策

・住宅エコポイントの対象拡充

・住宅用太陽光パネルの設置補助



希少金属(レアメタル)の一種。17種類ある。鉄などに混ぜると磁力が高まったり熱に強くなったりするため、工業の「調味料」「ビタミン」と呼ばれる。レアアースを混ぜた合金の強力磁石は、ハイブリッド車などに利用されている。2008年の産出量は中国が97%、インドが2%、ブラジルが0・5%。過去にも日立製作所が1970年代、カラーテレビ「キドカラー」のブラウン管に使うことで鮮やかな赤色を映し出す技術を開発。ソニーもカセットテープを回すモーターの磁石に使い、モーターを小型化。「ウォークマン」を生み出した。
( 2010-08-20 朝日新聞 朝刊 1総合 )



中国レアアース鉱山が続々閉鎖
日本経済の命綱に供給不安

2010年05月12日11時05分 /
ダイヤモンド・オンライン

 日本のハイテク産業の生命線であるレアアース(希土類)が高騰し、日本経済に暗い影を落とそうとしている。背景には、世界生産の大半を占める中国の“異変”がある。

 レアアースとは、合金に混ぜることで素材の性能を高める調味料のようなレアメタルで、磁力を強めるネオジムや高温でも磁力を保つジスプロシウムなど17に分類される。日本が強みを持つエコカーや省エネ家電、産業機械などに不可欠な存在であり、まさに日本経済の命綱といえる。

 その生産量の97%を握る中国で今、レアアース鉱山の閉鎖が続出しているのだ。

 というのもジスプロシウムなど中重希土の主な産出地である南部の鉱山では、違法な採掘業者が跋扈していた。特に「広東省では9割が違法」(総合商社)といわれるほどで、乱開発による環境破壊が深刻化していた。

 中国当局はこれまで静観していたが、今年に入って取り締まりを本格化させ、違法採掘を軒並み閉鎖に追い込んだのである。

 その結果、価格が上昇。双日によると、1年前に1キログラム140ドルだったジスプロシウムは足元で280ドルと2倍に高騰。ネオジムは1年前の 2・4倍となる同43ドルで取引されているという。

 価格高騰は、中重希土のみならず、触媒や研磨剤、蛍光体などとして幅広い産業で重宝される、セリウム、ランタンといった軽希土にも広がっている。

 これらは主に中国北部で産出されるが、北方鉱の供給を握る大手の包鋼グループが、原料の供給や流通を支配することで価格コントロールを狙っていることが背景にはあると見られる。大手商社担当者は「相次ぐ閉山、そして企業側の意図的な供給の抑制に加え、投機的な資金の流入も価格の急騰を加速させている」と分析する。

 さらに中国国内におけるレアアース需要が旺盛なことも重なって、日本への安定供給不安までもがにわかにくすぶり始めているのだ。

 専門商社の担当者は「昨年までと状況は一変し、中重希土のジスプロシウムなど調達が難しくなったレアアースが出てきている」と打ち明ける。

 中国では、レアアースを輸出する企業に輸出許可枠(EL)が割り当てられ、その範囲内でしか輸出はできない仕組みになっている。ところが、EL自体を企業間で貸与する動きが活発化したことで、より高値で取引される中重希土ばかりが輸出される事態が起こっている。その余波で、軽希土にも供給不安が浮上するという悪循環に陥っているというのだ。

 多くの関係者は、少なくとも7月頃までは価格の上昇が継続すると読む。その影響はボディブローのようにじわりと日本の産業に効いてくる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山口圭介)



中国レアアース禁輸報道、
代替ビジネス活発化の可能性も

2010年9月24日(金)16:04

(トムソンロイター)
  水野 文也記者

 [東京 24日 ロイター] 中国が日本へのレアアース(希土類)輸出を禁止したとの報道に関して、株式市場では材料として消化難となった。中国高官が報道内容を否定したほか、この問題の根源となっている衝突事件について、那覇地検が中国人船長の釈放を決定したことで事態は収束に向かう可能性が高まってきた。 

 しかし、レアアースに関しては今回の件にかかわらず、供給確保は将来的な課題となっているため、代替ビジネスが活発化するきっかけになるとの指摘もある。

 23日付のニューヨーク・タイムズ紙は、尖閣諸島付近で発生した日本の巡視船と中国の漁船との衝突事件を受けて両国間の緊張が高まる中、中国が日本へのレアアース輸出を禁止したと報じた。匿名の業界関係者の話としている。同紙によると、禁輸はすべてのレアアースが対象で今月末まで。中国のレアアースのトレーダーはロイターに対し、禁輸は聞いていないと述べた。ある日本の通商担当高官はロイターに、禁輸のうわさは聞いたことがあると語ったが、これ以上のコメントはしなかった。

 24日の東京株式市場では、欧米景気に対する不安、米国株安や外為市場でドル/円が円高方向に振れていることを嫌気し、輸出関連株を中心に売り優勢の展開となったものの「レアアース問題をメインの材料として織り込む様子にはならなかった」(準大手証券情報担当者)という。フィノウェイブ・インベストメンツ・チーフストラテジストの山岸優氏は「この問題は市場にネガティブな材料ではあるが、現時点では消化難といった感じだ。日中政府が緊張を高まる要因となった衝突事件の打開に向けて歩み寄るとの期待もある」と指摘する。実際、共同通信によると、漁船衝突事件で那覇地検は24日、中国人船長を処分保留で釈放する決定。市場では、これをきっかけに両国の緊張が和らぐと期待する声が出ていた。

 他方、レアアースに限って論じれば、目先の材料ではなく「今回の問題が生じなくても今後の課題として注目される」(中堅証券幹部)という。既に、中国政府は今年7月、レアアースの輸出に急ブレーキをかけており、液晶パネルやハードディスクドライブ(HDD)に使われるガラス製品の生産・出荷に支障が出るリスクが浮上。レアアースの生産は中国が世界で9割以上のシェアを握っているが、中国国内の需要拡大もあり、毎年更新される輸出許可枠が来年以降、かつての水準に戻るめどが立っていないためだ。

 こうした中、レアアースの代替技術について関心が集まっている。東洋証券・ストラテジストの檜和田浩昭氏は「安定調達が課題となる中、この一件をきっかけに、代替ビジネスが見直される可能性がある」と話す。実際、24日の株式市場では、貴金属リサイクルを手掛けるアサヒホールディングス<5857.T>や松田産業<7456.T>が連想買いを集めた。

 ただ、アサヒホールディングスでは「レアアースは事業として行っていない」(広報担当者)という。一方、松田産業の広報担当者は「技術的にレアアースの中で抽出できるものもあり、顧客からも引き合いはある。ただ、価格面から現時点ではビジネスとはなっていない。今後について、事業化はあくまでもコスト面で折り合うかどうかだ」と語っていた。

 資源関連としてマーケットで注目される大手商社の中で、レアアースの回収事業に取り組む動きが出ている。例えば、住友商事<8053.T>では、既に、カザフスタンの国営原子力公社カザトムプロムと共同で、同国におけるウラン鉱残渣を活用したレアアース回収事業を検討する事に合意し、合弁会社を設立。ここではレアアース分離品の生産体制を確立し将来的には現地でレアアースを活用した高付加価値品の生産を行うことも視野に入れている。カザフスタンで生産するレアアースには、電気自動車のモーターなどに欠かせないディスプロシウムや、ネオジムが豊富に含まれているという。

 また、丸紅<8002.T>の子会社である丸紅テツゲンは、使用済みの自動車からレアアースを回収・リサイクルする事業に乗り出し、モーター向けに使うネオジムやディスプロシウムのレアアースを回収、販売するとしている。同社でも、松田産業と同様にビジネス上で課題となるのはコスト面。現状の技術では市況が2─3倍上昇した程度ではとても採算に合わないという。さらに、自動車を採取源とするためには、エコカーの廃車を待つ必要があり、数年先をにらんだビジネスと位置付けている。

 このビジネスに関して丸紅テツゲンの広報担当者は「政府が補助金を出すなどの施策を打ち出さなければ、現状ではビジネスとして難しい。今回の衝突事件、禁輸報道などが、レアアース関連の政策を進展するきっかけになればと思っている」と語っていた。

(ロイター日本語ニュース 編集 宮崎 大)


by momotaro-sakura | 2010-10-08 15:15