上気道炎について

上気道炎について
 12月になり徐々に寒さの厳しき頃となりました。今回は上気道炎についての話です。一般には風邪、感冒等と呼ばれていますが、人体の臓器の中で外部から呼吸に関係する肺に達する通路の中で入り口の部分の話です。たかが風邪、されど風邪です。進行すると気管支炎や肺炎を合併し、高齢者や乳幼児にとっては命取りとなることもあります。 
上気道とは呼吸器系の中でより口に近い部分であり、鼻腔・咽頭・喉頭部から成り立ちます。なお、下気道とは気管支や肺臓です。外界に一番近い部分であり、種々の異物や細菌、ウイルスに接する場所です。上気道は本来の機能として吸気に適度な湿度を与える空調機構、嚥下、嗅覚、構音、発声などに関連する部位です。また、生体の防御機構の一つとして粘液繊毛作用や局所の免疫反応も有ります。
 感染の部位により咽頭炎や、扁桃腺炎、喉頭炎などと呼ばれますが近接しているために一括して上気道炎と称されています。細菌感染による場合には有効な抗生物質を用いた治療が必要ですが、ウイルス感染の場合には後に述べるインフルエンザ以外には有効な薬はなく、咳や咽頭痛などの症状を和らげる薬しかありません。発熱に関しては無理に下げる必要はないとの説があります。
 大部分の上気道炎は安静・投薬により軽快します。しかし、インフルエンザは別です。毎年流行を繰り返しており、数十年に一度は世界規模での大流行が起こしています。第一次大戦終了間際の1918年のスペイン風邪は全世界で約2000万人以上が死亡し、我が国でも27万人が死亡したと言われています。1957年のアジア風邪、1968年の香港風邪、1977年にはソ連風邪等があります。いずれもウイルス本体が抗原性を変異させて起こったものです。最近でも鳥インフルエンザなどが話題となっています。人間世界への進展が無いように祈るしかありません。
 現在のインフルエンザウイルスにはA・B型があります。最近のインフルエンザに対する診断・治療の進歩はめざましく、ウイルス抗原を迅速診断キットにより15分以内に診断できるようになりました。またウイルスに対する治療薬も開発されています。
 しかし、インフルエンザは空気感染により周囲に急速に拡大します。小児や高齢者など抵抗力の弱い場合には、高熱や摂食不良などから重症化して肺炎などになり、生命の危険も生じます。予防法としてワクチンが開発されています。感染予防のためにワクチンの接種を受けましょう。なお、他に病気を持つ人や幼児、高齢者及びその家族の方は必ず受けた方が良いでしょう




【急性上気道感染症】

 空気の通り道である気道は、鼻前庭に始まり、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支を経て肺胞まで達しています。このうち、鼻前庭から喉頭までを上気道、気管より末梢を下気道といいます。そして、外界(ほとんどは大気中)から微生物が侵入して上気道で急性感染が起こったものを急性上気道感染症と称し、これには急性上気道炎(いわゆる“かぜ症候群”)、急性咽頭炎・扁桃炎、急性喉頭炎、急性喉頭蓋炎が含まれますが、大部分は“かぜ症候群”です。



【かぜ症候群とは?】

 一般に風邪といわれているもので、呼吸器感染症のなかでも最も頻度の高い疾患です。原因となる微生物としてはウイルスが大部分で、全体の80~90%をしめ、残りは一般細菌、マイコプラズマ、クラミジアなどです。ウイルスの中ではライノウイルス、コロナウイルスが多く、これに続くのがRSウイルス、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスです。これらのウイルスには季節的流行の特徴があり、ライノウイルスは春と秋、コロナウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルスは冬に多い傾向があります。
 かぜ症候群の確定診断には、ウイルス抗体価の上昇をみる血清学的検査や抗原の検出が必要ですが、通常は流行時期や患者さんの症状・身体所見から診断を下し、対症療法が行われます。日常診療上、注意しなければならないのは急性気管支炎との鑑別です。
 
臨床兆候 原因微生物

かぜ症候群 咳が主症状ではなく、鼻症状や咽頭・喉頭症状などが主である。
咳は通常7~10日で鎮静化する。
高熱を伴うことは少ない。

ライノウィルス
コロナウィルス
パラインフルエンザウィルス
RSウィルス
インフルエンザウィルス
アデノウィルス


急性気管支炎 咳は激しく、主症状で長期化することがある。
症状はしばしば重症で、いわゆる急性炎症性疾患の病状を呈すことがある。

インフルエンザウィルス
アデノウィルス
百日咳菌
マイコプラズマ
肺炎クラミジア
by momotaro-sakura | 2010-10-25 18:52 | 健康管理/先端医療