迷走国会 何のために延長するのか

迷走国会 何のために延長するのか

 東日本大震災からの復旧と復興のため、立法府が超党派で取り組むべき政治課題は、それこそ山のようにある。

 被災地の切実な要望に耳を傾け、政府は必要な補正予算を組み、国会で臨機応変に立法措置を講じなければならない。会期延長は当然のことである。

 通常国会は会期末のきのうになって、会期を8月末まで70日間延長すると衆院本会議で議決した。ところが、民主党が提案した会期延長に対し、野党の自民、公明両党は反対に回った。菅直人首相の退陣時期などが明確になっておらず、納得できないからだという。

 与野党の協力関係が構築できないまま、会期の延長が決まってしまった。これでは、一体何のために会期を延長するのか。震災復興に最優先で取り組む建設的な延長国会となるのか。強い疑問と懸念を禁じ得ない。

 混乱と迷走の第一義的な責任は、会期延長をめぐって土壇場まで方針が二転三転した政府・民主党にある。

 岡田克也幹事長は20日の与野党幹事長会談で、120日程度の会期延長を提案した。首相の早期退陣を求める自公両党が「首相の延命につながる」と難色を示すと、延長幅を50日間に短縮するとともに、菅内閣で赤字国債の発行を認める公債発行特例法案と2011年度の第2次補正予算案の成立を図り、本格的な復興予算となる3次補正は新首相が対応する-との妥協案で大筋合意していた。

 しかし、再生エネルギー特措法案の成立や3次補正にも意欲を見せる首相は、延長幅を「70日」で押し返す。3党合意文書案にあった「新首相」の表現を「新体制」と修正する指示もした。

 そもそも国会の会期延長とは、内閣と政権党がどんな政策課題に取り組み、そのために必要な法案処理にどれだけの期間を要するかで判断するのが筋である。

 わずか数日のうちに「120日」「50日」「70日」と延長幅が猫の目のように変わること自体、会期延長が政策本位というより、政治的な駆け引き材料だったことを雄弁に物語る。

 「会期の延長幅と首相退陣の時期は関係ない」と繰り返した岡田氏の発言も、額面通り受け取るわけにはいかない。

 自公両党の対応も問題である。

 幻に終わった3党合意に照らせば「話が違う」と言いたいのだろうが、「50日」ならいいが「70日」は駄目だという論拠がはっきりしない。

 首相を早期退陣に追い込むためなら手段を選ばない-。いつまでも、そんな硬直的な対応を続けていれば、国民の批判は野党にも向かうと自覚すべきだ。

 成立しなければ、政権が窮地に陥るだけでなく、国民生活にも深刻なしわ寄せが及ぶ公債特例法案を「人質」に取る手法も、いいかげんにやめるべきだ。

 国民本位で政策を論議し、予算と法律をつくっていく。会期延長を契機に当たり前の国会へ立ち返るべきである。
=2011/06/23付 西日本新聞朝刊=
by momotaro-sakura | 2011-06-23 11:34