72年ぶりコメ先物復活 買い殺到、波乱の初日

72年ぶりコメ先物復活 買い殺到、波乱の初日
2011年8月9日 東京新聞朝刊


 コメの先物取引が八日、東京穀物商品取引所(東穀取)と関西商品取引所で七十二年ぶりに復活した。東京電力福島第一原発事故の影響などで、今年収穫されるコメは不足するとの見方から買い注文が殺到。東穀取では初値が付かず、投機資金流入による価格の乱高下が懸念される先物取引は、波乱の幕開けとなった。 (村松権主麿)

◆ターゲット
 コメ先物取引は、江戸時代の一七三〇(享保十五)年に大阪の堂島米会所で始まり、一九三九年に戦時経済統制で終了するまで約二百年続いた。一九九五年、コメの価格を国が管理する食糧管理制度の廃止後も、自民党政権はコメの価格維持などを理由に先物取引を認めなかった。

 しかし、民主党政権は戸別所得補償制度を導入。政策のターゲットがコメの価格から農家の所得に移り、先物取引再開に道が開かれた。東穀取と関西商取は今年三月、農林水産省に二年間の試験上場を申請。七月の認可を経て、取引スタートにこぎつけた。

 記者会見した東穀取の渡辺好明社長は「試験上場を成功させ、本上場に導きたい」と強調。生産者や流通業者、投資家など幅広い参加者を呼び込み、透明性の高い価格形成を目指すとした。

◆ご祝儀相場
 コメの供給不足への懸念を浮き彫りにした初日の取引。「関東コシヒカリ」の一俵(六十キログラム)を標準品とした東穀取では、来年一月物が一万八千五百円のストップ高で終了。現物価格などから設定した基準価格(一万三千五百円)を五千円も上回った。関西商取の来年一月物は、取引開始直後に一万九千二百十円の初値を付けた後、上がりすぎから三百円の値幅制限まで売られストップ安となった。

 東穀取関係者が「原発事故の影響が大きい」とみる一方、ある流通関係者は「取引開始のご祝儀相場だ。次第に適正な価格が見えてくるだろう」と指摘。「これまでになかった機能だから、勉強しながら関わることになるだろう」と話した。

 先物取引に期待される役割の一つに、価格変動のリスク抑制がある。例えば田植え前に農家が一定量を一俵一万五千円で売っておけば、収穫後に価格が下がっても一万五千円を確保できる。流通業者との相対取引で、農協が強い影響力を持つ価格形成に対し、新しい指標となる役割も担う。

 これに対し、全国農業協同組合中央会(JA全中)は、「投機資金によって価格の乱高下を招きかねない」と反発し、先物取引への不参加を表明。ただ東日本の農協幹部は「リスク抑制機能などに興味を示す(地域の)組織もある」と一枚岩でないことを明かす。

 関係者に期待と不安が混じるなかスタートしたコメの先物取引。「政権が変わったらどうなるか分からない」(農協幹部)との見方もあり、試験上場の成果が問われる。


by momotaro-sakura | 2011-08-09 08:05 | ブログ