円高・景気減速克服へ決意 企業トップ年頭所感

日経ニュース
円高・景気減速克服へ決意 企業トップ年頭所感
公開日時2012/1/4
 多くの企業で2012年の仕事始めとなった4日、経営者は年頭挨拶で、円高や欧州危機に伴う需要減速などの課題克服に向けた決意を語った。同日の東京外国為替市場で円は対ドルで前年末終値より1円近く急伸、企業を取り巻く環境は厳しさを増している。グローバル化の加速で競争力の向上を目指すトップが目立つ。

逆風下の経営

 円高への対応が喫緊の課題である輸出関連産業。日本自動車工業会の志賀俊之会長(日産自動車最高執行責任者)は「国内での生産活動継続は極めて困難になっており、空洞化の動きが加速しているが、今ならまだその動きを反転させられる」と指摘。「円高への抵抗力を高めるなど企業努力を継続するとともに、政府に『六重苦』の緩和や解消を働き掛けていく」とした。

 4日の東京外国為替市場で、円は対ドルで1ドル=76円台後半で取引が始まった。対ユーロでも一時1ユーロ=100円を超える円高が進行した。円相場は市場参加者が少ない年末年始に急伸しており、この流れに歯止めがかかっていない。

 政府・日銀は11年に3回にわたって大規模な為替介入を実施したが、直近の円相場は介入が入った水準に近づいている。安住淳財務相は同日の年頭挨拶で円高対応について「この戦いは続く。正念場の1年になる」と強調した。

 東京証券取引所の斉藤惇社長は大発会で「欧州債務危機は世界経済最大のリスク。歴史的水準の円高や世界経済の成長鈍化による影響は無視できないが、日本経済は世界の中では相対的に安定しているのではないか」と今年の相場に期待を込めた。

 円高は逆風となるばかりではない。キリンホールディングスの三宅占二社長は「海外事業で具体的な成果を追求し、シナジー(相乗効果)創出を加速する」とした。

 先進国経済の不安定さは続きそうだが、新興国を中心にグローバル事業展開を継続しなければ企業の生き残りは難しい。日立製作所の中西宏明社長は「世界の枠組みが大きく変化する可能性があるが、世界で戦えるメジャープレーヤーへの変貌を遂げるべく挑戦し続けよう」と社員を鼓舞した。

 長引くデフレなども企業経営の重荷になりそう。ただ、アサヒグループホールディングスの泉谷直木社長は「総論で世の中の景気が悪いというとらえ方をするのではなく、各論で成果を積み上げて新しい流れをつくろう」と呼びかけた。ファミリーマートの上田準二社長は「消費環境は厳しいが、安いだけのものでなく高付加価値で値ごろ感のある商品を開発する」との方針を語った。

復興も本格化

 今年は震災からの復興も本格化する。田川博己JTB社長は「被災地のツーリズム産業の早期復活が必要だ」と強調。NECの遠藤信博社長も、クラウドコンピューティングなどの技術を使い、復興に貢献する姿勢を示した。

 スズキの鈴木修会長兼社長は「どの経済指標を見ても良くなく曇りガラス越しに先を見ている状況」という認識だが、「1歩でも2歩でも前進して解決していく」との意気込みを示した。

by momotaro-sakura | 2012-01-05 14:32