「おわび」と「感謝」 一体改革関連法成立踏まえ野田総理が記者会見

「おわび」と「感謝」 一体改革関連法成立踏まえ野田総理が記者会見
2012年08月10日





 野田佳彦総理は10日、参院本会議で社会保障・税一体改革関連8法案が可決・成立したことを踏まえて首相官邸で記者会見を行った。

 この中で野田総理は、消費税率の引き上げが2009年総選挙時の民主党マニフェストに記載されていないこと、日々の家計のやり繰りに苦労している国民に負担をお願いすることになることについて「心苦しい気持ちでいっぱいだ」などとおわびしたうえで、今回の一体改革の必要性について(1)少子高齢化が世界最速のスピードで進行するなかで、安定財源を早急に確保して社会保障を支えていかなければならない状況に陥っている(2)給付は高齢者中心、負担は現役世代や将来世代という社会保障給付と財源負担のあり方ではもはや社会保障の持続可能性がなく、給付・負担両面で世代間の公平を図る必要がある(3)暮らしの安定のためには欧州債務危機のような事態を招いてはならず、金利が低利で安定している現時点で安定財源を確保し財政健全化を図る必要が有る(4)困難を伴うが必要な改革をこれ以上先送りせず、「決める政治」「決断すべきときに決断する政治」を今こそ実現する必要がある――と説明した。

 「政治生命をかける」という言葉に不退転の決意を込めて法案成立を目指してきた野田総理は、「知恵を出し汗を出し賛同いただいたすべての皆さん、賛同はいただけなかったが多角的な議論をいただいた皆さんに万感の思いをこめて感謝する」と述べるとともに、「多くの国民が求めている経済再生や政治・行政改革などにもしっかり応えていく政治を実現する」と今後への決意を表明した。
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民主党広報委員会





◆消費税率、平成27年10月までに10%に引上げ

 政府は2月17日現在、消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革の大綱を閣議決定した。消費税率を平成26年4月に8%(地方消費税分1.7%)、27年10月に10%(同2.2%)に2段階で引き上げるとともに、個人所得課税や資産課税等の見直しを通じて高所得層の負担を増やす措置が盛り込まれている。関連法案は3月中に国会へ提出する方針だ。

 消費税率引上げは、社会保障の安定財源確保と財政健全化を同時達成するための第一歩と位置づけ、低所得者に対しては、社会保障・税番号制度の導入を前提に、現金給付と税金の控除を組み合わせた「給付付き税額控除」の導入を検討する。また、食料品等に対する軽減税率の適用は、高額所得者ほど負担軽減額が大きくなることや事業者の負担が増すことなどから、今回は見送り、単一税率を維持する。


◆所得税や相続税は高所得層への課税強化

 消費税率の引上げにより低所得層の負担感がより大きくなることに伴い、高所得層の負担増を求める。個人所得課税では、現行の所得税の税率構造に加えて、平成27年分の所得税から課税所得5000万円超の税率を45%に引き上げる。資産課税では、相続税の基礎控除について、定額控除を3000万円(現行5000万円)、法定相続人比例控除を600万円(同1000万円)に法定相続人数を乗じた金額に、それぞれ引き下げる。

 また、税率構造についても、最高税率を、現行3億円超の金額50%から6億円超の金額55%に引き上げるなど、現行の6段階から8段階に見直す。一方、贈与税については、高齢者が保有する資産の現役世代への早期移転を促すため、直系卑属への贈与に係る税率構造を緩和し、相続時精算課税制度について、受贈者の範囲に20歳以上の孫を追加し、贈与者の年齢要件を60歳以上(現行65歳以上)に引き下げるなど、適用要件を見直す。

 金融所得課税については、上場株式の配当・譲渡所得等に係る10%軽減税率を平成26年1月から20%の本則税率に戻し、非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得・譲渡所得等の非課税措置(いわゆる「日本版ISA」)を26年1月から導入する。そのほか、法人課税については、23年度改正で実効税率を5%引き下げたが、今後も雇用と国内投資拡大の観点から、さらなる引下げを検討する。


◆新設法人を利用した租税回避行為の防止

 消費税率を引き上げることに伴い、消費税制度の信頼性を確保するための一層の課税の適正化を進める方針だ。具体的には、1)かねてより租税回避行為に悪用されているとの指摘がある資本金1千万円未満の新設法人に係る事業者免税点制度、2)簡易課税制度におけるみなし仕入れ率の見直しだ。

 事業者免税点制度では、資本金1千万円未満の新設法人については設立から2年間免税事業者となる。ところが、会計検査院から、2年間免税となっている新設法人のなかには、設立当初から相当の売上高がある法人や、1千万円未満の資本金で法人を設立し、第2期の期中に資本金を1千万円に増資することで2年間免税となっている法人、設立後2年間免税の適用を受け、設立3期目以降に解散等している法人があるなど、の指摘があった。

 こうしたことから、大綱では、新設法人を利用した租税回避行為を防止する観点と、中小事業者の事務負担への配慮という制度本来の趣旨とのバランスを考慮して、5億円超の課税売上高を有する事業者が直接または間接に支配する法人を設立した場合については、その設立した法人の設立当初2年間については、課税事業者とする見直しを行う。この改正は、平成26年4月1日以後に設立される法人について適用する。


◆簡易課税制度のみなし仕入率も見直し

 一方、簡易課税制度のみなし仕入率については、去る1月6日に正式決定された社会保障・税一体改革の素案では、「今般、同制度に関する実態調査を行ったところ、業種によっては、みなし仕入率の水準が実際の仕入率を大幅に上回っている状況にあることが確認された。今後、更なる実態調査を行い、その結果も踏まえた上で、みなし仕入率の水準について必要な見直しを行うものとする」と記載された。

 この実態調査は、平成20年度分の申告事績を基にしたもので、簡易課税適用者の場合、みなし仕入税額により申告しているので、申告事績からは実際の仕入税額を把握できないため、決算書等を基に課税仕入額を試算している。その結果、実際の課税仕入率が、みなし仕入率と大幅にかけ離れていたのは、第4種(みなし仕入率60%)のうち金融保険業の33.8%と、第5種(同50%)のうち不動産業の32%やサービス業の38.9%などだった。

 今後の実態調査結果にもよるが、現行の90%~50%の5区分のみなし仕入率に加え、新たに40%の区分を設けることが想定されている。
by momotaro-sakura | 2012-08-11 10:39