日本を道連れに自沈する野田政権、せめて「超円高」の是正を

日本を道連れに自沈する野田政権、せめて「超円高」の是正を
2012.8.14 09:06]
 マクロ経済政策論の泰斗、宍戸駿太郎筑波大学名誉教授から、ミッドウェー海戦敗北と野田佳彦政権の経済政策の混迷ぶりを比較した論考を拝聴した。海戦では、当時世界最強とうたわれた南雲機動部隊が惨敗した。米軍の戦闘機の性能、パイロットの技能とも日本軍に劣っていたが、情報力だけは日本を圧倒していた。暗号解読は軽視され、レーダー装備も戦艦大和にしかなかった。偵察機が発信した敵艦隊の情報は黙殺された。日本艦隊には情報の収集、解析、伝達の能力ばかりでなく、機動作戦に直結させる統合システムが欠如していた。(フジサンケイビジネスアイ)

 翻って「野田機動部隊」はどうか。情報力の中核となるべき内閣府のマクロ計量経済モデルは増税を推進する財務官僚にとって都合のよいように操作されている。野田政権という司令部は財務官僚軍団に全面依存しているうえに、司令部を支える民主党は分裂中だ。

 それでも、日本国民として傍観していくわけにはいかない。総選挙で司令部を総取り換えするのは当然だが、ずるずると混迷政局を長引かせることはもとより、次の司令部が同じ愚を繰り返すのは何よりも避けねばならない。

 筆者がそこで、提起するのは、政権という司令部の最優先目標を「超円高是正」一点に絞る案である。ボロボロの野田佳彦氏がたとえ延命しても、超円高という敵を殲滅(せんめつ)しなければならない。

超円高は日本の主力艦隊を自沈させる。ゴールドマン・サックス(GS)の7月27日付リポートによると、日本の株価は円・韓国ウォン相場に強く相関する。GSの分析によれば、ウォンの対円相場の下落幅以上に日本株が下方に振れるのは電気機器や鉄鋼である一方、自動車など輸送機器はほぼ同じ割合で変動する。電機産業は韓国のサムスンを筆頭に、半導体、液晶、携帯電話など一部は日本企業に追いつき追い越す具合で、製品品質の区別がつかない。残る国際競争条件の差異は価格に絞られるのだから、為替相場が決定要因になる、と日本株投資家の多数が受け止める。

 自動車産業はその点、日韓の間の実力差が電機ほど縮まっていない。それでも、日本の自動車産業株の下落幅はウォン安と同じ度合で下がる。日本株投資家の多くはまた、円・ウォンの下落は日本の対韓貿易黒字を減らすと評価して、日本株売りをもう一つ、動機付けしている。韓国当局がウォン安政策を続けるほど、日本株全体を押し下げて、日本経済のエンジンを消沈させるのだが、真の問題は日本の当局にある。

 財務省は円高と表裏の関係にあるデフレ容認路線で、野田司令部は消費増税がデフレと円高を招くことに無頓着だ。日銀は政府の無策をよいことに、円高の進行に何のアクションもとらないのだ。いくら駄目な司令部でも自爆、自沈だけは避けるだろうに。(
産経新聞編集委員 田村秀男)
by momotaro-sakura | 2012-08-14 10:19 | レシピ