【東電末端社員のいま】

【東電末端社員のいま】縁談破談に保険やローン解約…

2012年9月5日 09時14分 (2012年9月5日 11時49分 更新) SPA!
原発事故への責任追及が東京電力社員に集中している。「事故の責任を取れ」というが、一社員にとってはどうしようもない。それでも脅迫やイジメは続く。そもそも、原発に関わってこなかった人がほとんどの職場。そんな現場の声をリポートした。

◆事故後、突然に縁談が破談

 仕事先で知り合った、福島県内の女性と婚約予定だったCさん(20代後半)はこう語る。

「彼女の家族も『東電さんなら将来も安心』と好意的でした。それが事故で一変。急に彼女から『あなたのことが尊敬できなくなった』と言われたんです。どこが?と聞いても答えてくれない。以前は『働いている姿が好き』と言ってくれていたのに……。後で共通の知人に聞いたのですが、東電社員と結婚することに親族から相当反対されたみたいです」

 合コンやお見合いパーティでも東電は不人気だという。

「お見合いパーティで何とかツーショットに持ち込んだのですが、東電社員だということを伝えると『将来性がない』『東電の人といると今後が大変そう』と言われました……。合コンではギリギリまで素性を隠しています。以前は東電というだけで向こうから連絡先を聞いてきたのに」(Dさん)

 さらに東電社員を直撃している問題がある。給与カット(管理職25%、一般社員20%)と昇給・昇進の凍結、福利厚生の大幅カットだ。東電社員は、安定した待遇をもとに、何をするにもローンを組む傾向が強い。

「ほかの一流企業よりも給与水準は低いものの、年齢に応じて一律に昇給・昇進があり、福利厚生が充実しているという安定感がウチの会社の最大の魅力でした。もともとそういう安定志向の社員ばかり。今回の待遇激変は非常に痛いです。給与カットで今後は住宅ローンの支払いが厳しくなるので、財形を解約しました」(Eさん)

「住宅ローンはなかなか崩せませんから、クルマを売って安い中古車に買い替えたり、保険を解約したり、学資ローンを解約して子供の私立進学を諦めるなどという対応をしている家庭が多い。私は妻にパートに出てもらうことにしました」(Fさん)

東電「一般社員」の声に出さない悲鳴【1】

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【東電批判の最前線】SNS経由で個人宛ての脅迫も
2012.09.05 SPA!


原発事故への責任追及が東京電力社員に集中している。「事故の責任を取れ」というが、一社員にとってはどうしようもない。それでも脅迫やイジメは続く。そもそも、原発に関わってこなかった人がほとんどの職場。そんな現場の声をリポートした。

◆脅迫は日常茶飯事

 東電批判の最前線に立っているのは、窓口業務と24時間受け付けの電話オペレーター。

「脅迫電話は日常茶飯事」と語るのは東電子会社で電話オペレーターを務めるGさん。

「『事故の責任を取れ』と、同じ人から一日に10回も20回も電話がかかってきました。原発の危険性について滔々と話されたり、夜中に『今からそこに行くから』などと脅されることも。関係者なのか、なぜか社員の自宅の場所を知っている人がいて、名指しで脅されたりもしました」

「電力料金滞納の人に支払いをお願いしたら、原発事故を理由に支払いを拒否する人が急増しました。『原発事故の責任を取るまで払わない』と言うのです」(都内の営業所に勤務するHさん)

 さらに、脅迫はネット上でも行われているという。

「会社にも脅迫メールはもちろん来ますが、怖いのは個人あてにも来ること。mixiやFacebookなどでは、芋づる式に東電社員だとわかってしまう。知らない人から事故の責任を追及するメッセージが何度も届いたり、社員の名前や写真など個人情報が晒されたりといったことも起こりました。ウチの職場には会社の行事の写真をアップしている社員が多かったのですが、東電とわかるようなプロフィールや過去の書き込みを削除するようにとの指示がありました」(Dさん)

― 東電「一般社員」の声に出さない悲鳴【2】 ―
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東電一般社員の叫び「苦情や脅迫の対応は末端におしつけ、会社は守ってくれない」
2012.09.05 SPA!


原発事故への責任追及が東京電力社員に集中している。「事故の責任を取れ」というが、一社員にとってはどうしようもない。それでも脅迫やイジメは続く。そもそも、原発に関わってこなかった人がほとんどの職場。そんな現場の声をリポートした。

◆最前線にいる一般社員のストレスが最高潮に

 事故後、原発事故の補償担当を務めるIさんはこう語る。

「賠償関連は事務所を隠しています。ほかのテナントに迷惑がかからないようにするためですが、それでもどこかで調べてくる人がいる。窓口で『人殺し!』と叫んだり、シュプレヒコールを上げ始めたり、売れなくなったという農産物を運んできたり。こちらは事故を起こした側なので『申し訳ございません』と言うしかありません。じっくり相手の話を聞いて、お帰り願っています」

 そんな最前線の職場では、職員の精神的なストレスが最高潮に達している。

「補償担当の社員には、仕事に対するモチベーションもない。仕事を頑張っても評価されることはなく、批判されるだけ。僕の後輩は精神的ストレスが原因で、腸にポリープが13個できました。そんな職場では、他社でも通用するような、20代の優秀な社員ほど辞めていきます」(Iさん)

 ’11年度に東京電力を依願退職した社員は460人。これは例年のおよそ3.5倍だという

 こうしたことを、本社は把握しているのだろうか。東電に聞いてみると「そういうケースがあることは把握しているが、全体的に集計していないので計量的には把握していない」(広報部)とのこと。実際には、多くは最前線の社員が批判を直に受け止めているようだ。

「会社はなるべく騒ぎを大ごとにしたくないのか、ほとんどの件は現場で処理するようにとの暗黙の指示を出しています。火炎瓶を投げ込まれたようなケースは例外ですが、ほとんどは現場で処理しています。こちらは100%悪い立場。本当に『申し訳ございません』と謝るしかできない」(Hさん)

「昇給や昇進の夢も今はもうない。入社当初の安定した生活はあきらめました。今、何のために仕事をしているかというと、使命感しかありません。自分が辞めたらもう事故の収束をやりたい人なんていないだろうって」(Iさん)

 このような最前線の東電社員に対して、会社はどう対応しているのかを聞いてみた。

「震災前から社内に面談・相談窓口をもうけているが、今後さらに対応していきたい。さらに、全ての事業所というわけではないが、精神科専門医を配置して、メンタルケアや相談を行っている。また定期健康診断でメンタルチェックも行っている。一番大事なのは上司が部下の異常に気づくことなので、上司(管理職)に対する社員教育や研修を実施している」(広報部)とのこと。

「今後の自分のサラリーマン人生に希望が持てないし、仕事にプライドも持てない。葬式や結婚式などで不特定多数の人に会うとストレスがたまる。でも生活があるから辞めることもできない。自分でもどうしたらいいのかわからないんです。事故後、精神科に通う社員は多いですが、私の同僚は薬の飲みすぎで危険な状態に陥りました、会社に言ったところ、『気の持ちよう』と。会社は、社員を守ろうとしてくれてはいないようです」(Jさん)

― 東電「一般社員」の声に出さない悲鳴【3】 ―
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東電の社宅が嫌がらせの標的に
2012.09.05 SPA!


原発事故への責任追及が東京電力社員に集中している。「事故の責任を取れ」というが、一社員にとってはどうしようもない。それでも脅迫やイジメは続く。そもそも、原発に関わってこなかった人がほとんどの職場。そんな現場の声をリポートした。

◆ 「ウサ晴らしに飲みにも行けない」東電社員の厳しすぎる日常

 東電への激しいバッシングは、社員の日常生活にも支障をきたしている。

「毎日ストレスがたまるので、本当は飲みに行きたい。でも、同僚から『飲みに行ったら酔っ払いにからまれた』という話を聞いていたので、なじみの飲み屋にも行けなくなった。ここ半年ほど外に飲みに行っていません。同僚とその家族とで、こっそりバーベキューをしたくらいです」(Jさん)

 ところが、それもバッシングのネタとなってしまう。

「同僚の自宅の庭でバーベキューをしていたら『こんな時期に不謹慎だ』と、近所の人から会社に苦情電話が入ったんです。その後、上司から内々に『あまり人目のつくところで遊ばないように』とお達しがありました」(同)

 また、社宅はいやがらせの標的となりやすい。

「ウチの社宅は『社員の安全のため』と事故後に看板が外されましたが、ネットの地図を見ればすぐに東電の社宅だとわかってしまいます。一時期は社宅の住人に見境なくからんでくる酔っ払いのオジサンがいましたし、見知らぬ人がウロウロしていると恐怖感でいっぱいになります。夜は怖くて出歩けません。『大飯原発再稼働反対』のチラシや原発事故の週刊誌記事が、駐車場の壁にベッタリと貼りつけられていたこともありました」(Kさん)

 そのほか「クルマに原子力のマークを落書きされた」「家の前に生ゴミを置かれた」「犬のフンが玄関前に積まれていた」など、子供のイタズラのようないやがらせも数々あるようだ。

― 東電「一般社員」の声に出さない悲鳴【4】 ―

by momotaro-sakura | 2012-09-06 07:25