<尖閣>中国、出漁漁船はGPS管理 補助金も 日本へ圧力

<尖閣>中国、出漁漁船はGPS管理 補助金も 日本へ圧力

毎日新聞 9月23日(日)9時48分配信


舟山から尖閣諸島までの距離を示す漁船GPS。船長によると25時間前後かかり、燃料費がかさむという=浙江省舟山で2012年9月22日、隅俊之撮影


 【舟山(中国浙江省)隅俊之】中国当局が最近、中国漁船に対し、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)に出漁する漁船総数の上限を省ごとに定めたり、各船に全地球測位システム(GPS)を装備させ、その規模や活動範囲への管理態勢を強めている。一方で中国当局は尖閣諸島に出漁する漁船に補助金も与えており、付近での活動を一定の範囲内で活発化させることで日本側への圧力を強めようとしている。

【写真で見る】尖閣 中国監視船3隻、一時領海に侵入

 22日、中国海軍の基地がある浙江省舟山を訪ねると、漁船はまばらだった。近くには中国国家海洋局所属の監視船「海監」2隻が停泊している。舟山は中国有数の漁港の一つ。船の荷降ろしをしていた漁師は「普段は無数の漁船がいる。風が収まったからみんな出漁したんだ」と話した。中国メディアによると、浙江省からは現在、700隻の漁船団が東シナ海に出漁している。

 地元の漁業関係者によると、「以前は、トラブルにならないよう釣魚島に行くなと当局に言われていた」。だが日中間で領土問題が顕在化したころから、対応に変化が表れた。

漁業当局は現在、日本側とトラブルが起きる可能性がある尖閣諸島沖海域に向かう漁船は、浙江や福建、山東など省ごとにその総数に上限を設けながらも、一定規模の操業を認めている。

 ある漁民は「釣魚島の辺りは魚は豊富で、もうけも大きい。でも、日本側に邪魔もされるからもめ事になる危険性もある」と話す。各漁船にはGPSが取り付けられ、同行する中国の監視船が随時、日本の領海に近づきすぎないよう位置を把握しているという。

 一方で、舟山の南に位置する浙江省石浦の漁業関係者は「地元当局は釣魚島近くに向かう漁船に10万元(約120万円)を燃料費として支給することを決め、出漁を奨励している」と話した。中国当局は、漁船が日本側に拿捕(だほ)される事態を回避しながら、尖閣諸島沖合での操業を促すことで巧みに日本の実効支配に揺さぶりをかけようとしているようだ。

 中国当局は、これまでもフィリピンなどと領有権争いを抱える南シナ海に向かう漁船に対し、燃料費の名目などで補助金を出してきた。だが、漁民にとっては必ずしも利点ばかりではない。スカボロー礁(中国名・黄岩島)では今年4月、フィリピン軍艦艇が中国漁船を立ち入り検査し、中国側の監視船と対峙(たいじ)する事態が起きている。

 舟山を母港とする漁船のある船長によると、知人の漁師は地元当局から15万元(約190万円)の補助金を受けスカボロー礁の近海へ出漁したが、魚が少なく、結局赤字になった。別の船長は「魚がいるところに行きたいのが漁師。どこに行けとか行くなとか、国に利用されるのは正直迷惑だ」と話した。
 尖閣諸島の北方沖合には日中漁業協定で暫定措置水域が設定されており、この水域内では中国漁船も操業できる。中国メディアによると、浙江省や福建省からは約1000隻の漁船が東シナ海に向けて出漁。浙江省からの700隻は尖閣諸島まで235キロの沖合で操業している。日本側とのトラブルを避けるために遠方で操業しているのが実態のようだ


スカボロー礁【すかぼろーしょう】
知恵蔵2012の解説.

南シナ海の中沙諸島東部にある岩礁で、近年、フィリピンと中国が領有権を巡り争っている。フィリピン名はパナタグ礁、中国名は黄岩島。中沙諸島では水面に露出している唯一の島嶼(とうしょ)だが、沖ノ鳥島と同じ小岩で、人は住んでいない。
現在、実効支配しているのはフィリピンで、1992年に撤退した米軍から継承した。フィリピン政府は、スカボロー礁がルソン島の西沖約220キロと近接していることから、排他的経済水域(EEZ)内の自国領土と主張する。2009年には、南沙諸島(カラヤン諸島)の一部とともにスカボロー礁を自国領土とする「領海基線法」を国会で成立させた。
これに対し、中国政府は「違法かつ根拠のない主張であり、厳重に抗議する」との声明を出した。元王朝時代に黄岩島で測量を開始し、その後も周辺海域で漁業、開発・調査など管轄権(主権)を行使してきたことを理由に、フィリピンの主張を退ける。
領有権が両国の政治問題に浮上したのは、周辺海域の地下に天然資源が確認された1990年代後半からである。2012年4月には、海洋哨戒活動を強化させたフィリピン海軍がスカボロー礁に進入した中国漁船の立ち入り検査を行い、一気に緊張が高まった。これに反発した中国が海洋監視船を派遣し、フィリピン艦船と浅瀬でにらみ合う状況が2カ月近く続いた。この時、フィリピンは国際海洋法裁判所による仲裁を提案したが、中国は法理上自国の領土であることは明白として拒否している
( 大迫秀樹  フリー編集者 )
by momotaro-sakura | 2012-09-23 13:14