オイルショック

オイルショック

買い占めと狂乱物価

  石油危機 、 石油ショック などともよぶ。昭和48年(1973)10月、アラブの石油産出諸国が、原油の生産制限と輸出価格の大幅な引き上げを行ったことに起因する経済の混乱をいう。アラブ産油諸国はOPEC(石油輸出国機構)を中心に、石油資源国有化など資源ナショナリズムの運動をつづけていたが、48年10月の第4次中東戦争の際、原油輸出価格を一挙に4倍に引き上げ、同時に生産制限を断行した。このため世界的にスタグフレーション( インフレ を伴った景気停滞)が進行する。とくに低価格の原油を多量に輸入し、 高度経済成長 をつづけていたわが国の受けた打撃は大きかった。これを第1次石油危機といい、54年の原油価格2倍引き上げによる混乱を第2次石油危機とよぶ。
〈石油危機の影響〉
 48年11月、政府は一般企業へ石油 電力の20%削減、民間へエネルギー 資源の節約を要請した。このため、原材料の買い占めや備蓄、製品のストックなどが行われる。国民の間には、モノ不足感が広がり、パニック状態がおきた。買い急ぎ、買い占め、売り惜しみなどもあって、紙 砂糖 洗剤などの価格が短期間に高騰した。
 県下で商品の買いだめ騒ぎが、特に激しくなったのは11月20日ごろから。トイレットペーパーや砂糖などはその日のうちに売り切れ、価格も1日で急騰する状態にあった。あるスーパーでは、1日にうちに、砂糖の価格が2倍にもなったことがある。とくに、トイレットペーパー 砂糖 塩 洗剤 灯油など生活物資の不足と値動きは激しかった。 狂乱物価 と呼ばれたほどである。物価の上昇は、他の商品にも広がり、いわゆる便乗値上げもみられた。政府やメーカーは品不足を否定し、自粛を求めたが、現実に店頭では品不足で、消費者の不安をつのらせた。県 市町村は物価安定推進連絡協議会や品不足対策懇談会など設けて、対策をねった。激しかった買いだめ騒ぎも、11月末には落ち着き取り戻し、トイレットペーパー 洗剤 砂糖などが店頭に出回るようになった。価格は多少値下がりしたものの、騒ぎ以前の状態に戻ることはなかった。なかでも、灯油価格は、通産省の指示価格以上にあり、混乱がつづいた。
〈対策〉
 これまでわが国は、石油消費量のほとんどを輸入に依存し、しかも大量に消費することで成長をつづけてきた。石油は燃料だけでなく、エネルギー 原料としても不可欠になっていた。しかし、これを機に「消費者は王様」が、「節約は美徳」にかわり、新たな対応を迫られることになった。省資源 省エネルギーの提唱である。
 電力会社は節電を呼びかけた。デパート スーパーなどは開店時刻を遅らせ、官公庁では点灯数を減らし、不要時は消灯した。ネオンも深夜は消え、クーラー エレベーターも減らされ、使用時間が制限された。 NHK や 民間放送 局は、放映時間を短縮、深夜の放映を取りやめた。冷房の制限によって、ノーネクタイ運動が広がるなど、生活様式も転換が求められた。
 石油製品の不足は、多方面に影響を与えた。相つぐ値上げでコストが上昇したほか、品不足から操業短縮や休業日を増加せざるを得なかった。施設園芸は燃料 資材の高騰に苦しみ、運送業者はガソリン 重油の確保に不安があった。遠洋漁業も燃料不足で出漁を制限したほどである。
 石油製品価格の上昇をガソリンでみると、危機以前に1 45円だったのが、80円、100円、120円と急上昇。ガソリンスタンドの日曜 休日閉店が始まり、当番店を設けなかった時期もある。自家用車による通勤や休日ドライブの自粛が呼びかけられた。一時は、ガソリンの配給制がいわれたこともある。48年末には、政府の定めた石油緊急対策要綱によって、県が石油製品斡旋相談所を開設。中小企業と優先業者(農林漁業者、公共機関等)などで、石油の入手が困難な者に 斡旋(あっせん)を始めた。
 49年1月には電力 石油の第2次規制が実施され、省エネルギー 省資源が一段と強められた。原材料不足と原材料価格などの高騰から小売物価は、じりじりと上昇をつづけ、1年間に22%もの高騰であった。県は48年12月、大分県物資対策本部を設け、副知事を本部長に物不足対策に取り組んでいたが、49年4月には県内の12か所に、物資物価対策本部を設置、流通調査員を増やし、物価の監視にあたらせた。
〈第2次オイルショック〉
 54年6月、OPECは原油価格の大幅値上げを決定した。53年末から3回目の連続値上げで、半年間に41%もの大幅となった。国内の石油価格も連動して上昇、再び混乱が心配されたが、前回のようなことはなかった。さらに46年のドルショックにつづく2度のドルショックで、経済の先行きも懸念されたが、極度の 恐慌 に陥ることもなかった。しかし、49年度に実質経済成長率が初めてマイナスを記録。以後低成長時代に入った。

by momotaro-sakura | 2012-09-23 18:58