尖閣より怖い? 中国構造不況の深度

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尖閣より怖い? 中国構造不況の深度


尖閣列島を巡る日中緊張は長引きかねず、反日デモでの破壊対象となったイオンなど流通企業株が売られた。だが、不買問題など反日行動以上に日本企業にとって深刻なのは中国経済そのものの失速リスクだ。構造的な不況要因が明らかになってくるようなら、輸出企業を中心に製造業株が売り込まれる展開もあり得るだろう。

「中国は景気てこ入れに動いているが、一部の中国専門家は中国の輸出減速の影響を完全に過小評価している」――。米貨物大手フェデックスのスミス最高経営責任者(CEO)は18日、6~8月期決算発表後の電話コンファレンスで、中国経済へ強く警鐘を鳴らした。

フェデックスは中国国内で宅配サービスを始めている貨物大手であり、物流基地などインフラへ巨額投資をしている。CEO発言には重みがあり、米国市場では中国関連株の一部に売りが入ったほど。中国では欧州向け輸出が急減しているのだが、フェデックスは中国から米国向けの航空輸送サービスも縮小し始めているようだ。

中国経済を見る場合、その振幅の激しさを象徴するのは建機業界だろう。リーマン・ショック後の世界経済の下支え役になったといわれる4兆元の経済刺激策で公共工事が急増した。その恩恵で需要が急拡大したのが建機だった。一時は作れば売れる状況で、売上は倍増が当たり前だった。

建機販売の不振は中国が金融引き締めなど政策面で急ブレーキを踏んだ結果、昨年後半から顕在化した。掘削機の販売は15か月連続で前年割れ。コマツやキャタピラーなど外資の建機メーカーは前年比で売り上げ半減の状態が続いているという。

ところが品質面では劣る中国国産メーカーの売り上げはわずかだが伸びているところが多い。単なる値引きにとどまらず、頭金は販売価格の1~2割に抑え込んで低金利ファイナンスで押し込み販売を繰り広げているからだ。なかには頭金ゼロも多いという。

このため、売上は増えても財務内容は急速に悪化している。たとえば、油圧シャベルで中国販売がコマツを抜いた三一重工。今年1~6月期決算では、売上高こそ5%増の約320億元(1元=12.4円)と増えてはいるが、6月末の借入金が約470億元と年初比50%も増加した。

それでも製品に支払い能力のある買い手がついていればいいのだが、未収金が約230億元と年初比倍増している。さらに、在庫も約100億元と年初比25%も増えている。売り上げ規模に比べ、ちょっと危険なほどの財務悪化ぶりだ。金利負担が急増している模様で、キャッシュフローはすでにマイナスに転じている。

押し込み販売でも作りこんでしまった在庫の山ははけていない。生産調整に追い込まれているもようで、7月初めに中国メディアは3割の人員カットを報じた。

三一側はこれを賃金体系の変更と説明し、人員削減は否定しているが、従業員側とトラブルが多発し、メディアに情報が筒抜けになっている。

建機業界をはじめ中国製造業では、職業訓練と称して仕事に就かせず、実質的な賃金を半分近くまで落として退職に追い込むケースが大量発生しているもよう。反日デモに参加した人たちに多くの失業者が混じっていたとの情報もある。

三一重工の会長は、国営企業から三一を起業した立志伝中の人物。輸入に頼っていた建機で国産品を普及させた点などが評価され、今秋の共産党大会では党幹部への就任も取りざたされている。

三一重工とやはり建機大手の長沙中聯重工科技発展は湖南省省都の長沙を本拠地としている。そのためか、湖南省は最近、8900億元の景気刺激策を発表した。省政府は中聯に大口出資しており、官民の近さは明白だ。

建機にかぎらず、自動車、電機製品と中国での在庫は高水準。中国依存度の高い日本の化学メーカーも「中国のエチレン在庫はかなり高く、足もとの受注はがた減り」という状況だ。

これらが、一時的な在庫にとどまるかどうかは相当に微妙。どの業界からも、生産設備が余ってしまっているとの見方が漏れている。

生産設備への過剰投資は、共産党メカニズムが作りだしたとの指摘もある。目立つ最新鋭の工場の建設が、地方の共産党幹部には最も手っ取り早い中央向けの「実績」。そのため、販売・流通面などでの許認可と抱き合わせで工場建設を強引に誘致するのだという。

そうした地方間競争が過剰投資をさらに膨れ上がらせてきたという。もちろん、背景には空前の投資主導の景気があったのだろう。

中国政府も景気減速には危機感を強め、9月初旬には1兆元の公共投資を認可した。この効果への期待で、経営破綻などはしばらく表面化しそうもないし、失速を急減速程度に抑え込めるかもしれない。

しかし、4兆元の景気刺激が高インフレを生んだ苦い経験は忘れられてはいない。景気を反転させるような大規模な景気刺激策は難しい。痛み止めを打ちながら設備廃棄という需給ギャップを埋める構造調整を進めるしかないだろう。中国は構造不況の入り口に立っているのかもしれない。

バブル崩壊後の日本のような長い停滞にもなりかねない。それが明白になっていくようなら、中国依存度の高い日本企業を中心に、日本経済にも試練の時が来ることになる


へっぽこつぶてブログより
http://opi-3rd-riku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-21-2
日経から
http://www.nikkei.com/markets/features/27.aspx?g=DGXNMSFK2003J_20092012000000
by momotaro-sakura | 2012-10-05 10:53