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韓国企業が力をつけた理由

現代がトヨタを越えるとき [著]小林英夫・金英善
[文]加藤出(エコノミスト)  [掲載]2012年10月07日




著者:小林英夫、金英善 
出版社:筑摩書房 

韓国企業が力をつけた理由

 米国や中国に行くと、街中を走る韓国車が近年急増していることに驚かされる。デザインがカッコいい、性能は日本車と大差ないのに安い、といった声が消費者から聞こえてくる。
 日本の家電産業のように、もしかして自動車も韓国にやられてしまうのでは?と不安を抱く日本人は最近多いだろう。「なぜ韓国企業は急速に力をつけたのか。それを可能にした条件は何なのか。この疑問に応えようというのが、本書の課題」だと著者は述べている。
 日本より遥(はる)かにコンピューター化されている工場、卓越したマーケティング戦略、迅速な意思決定、新興国市場への大胆な投資の成功、韓国政府の財閥保護支援政策等々が現代(ヒュンダイ)グループの強みとして解説されている。
 しかしながら本書は現代が抱えている弱点も的確に分析している。経営トップの世代交代リスク、荒れた労使関係、非正規職雇用の差別問題、国民に犠牲を強いている財閥優遇策の歪(ひず)みなどに彼らは直面している。
 とはいえ気になったのは、著者が指摘する日本企業の「経営者の覇気の少なさと守り一点張りの姿勢」である。「この市場をなんとか食ってやろうという荒々しい覇気や、がむしゃらさ」が感じられないという。ハングリー精神の欠如が我々の最大のリスク要因なのかもしれない

by momotaro-sakura | 2012-10-14 17:27