睡眠制御にセロトニン関与=ラットで解明―理研

睡眠制御にセロトニン関与=ラットで解明―理研

2012年10月17日 22時22分時事通信社

 約24時間周期の体内時計をつかさどる脳の中枢が正常に機能していても、脳の別の部分で神経伝達物質「セロトニン」が不足すると、睡眠と目覚めのリズムが崩れることがラットの実験で分かった。理化学研究所や米ペンシルベニア大などの研究チームが17日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスに発表した。

 セロトニンは不足するとうつ病の一因となり、統合失調症にも複雑に影響すると考えられている。

 今回、睡眠と目覚めのリズムを直接制御する機能がラットで判明したのは、目の奥に位置する「前脳基底部視索前野」。ヒトで同様の役割が確認されれば、睡眠障害患者で局所的にセロトニンの量を調節する新治療法を開発する手掛かりになると期待される。

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セロトニンとは「ノルアドレナリン」や「ドーパミン」と並んで、体内で特に重要な役割を果たしている三大神経伝達物質の一つです。
セロトニンは人間の精神面に大きな影響与える神経伝達物質で、 セロトニンが不足すると、うつ病などの精神疾患に陥りやすいと言われています。

セロトニンは、ノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある伝達物質で、セロトニンが不足すると精神のバランスが崩れて、暴力的(キレる)になったり、うつ病を発症すると言われています
セロトニンの名前はうつ病などの精神疾患に関する話題と同時に語られることが多いようです。
最近では特にうつ病の患者数や自殺者の数が増加し続けているため、TVや雑誌でも目にする機会が増えてきました。



セロトニンは自然界の動植物に一般的に含まれる物質で、トリプトファンと言う物質から生合成されます。
人体中には約10ミリグラム程度が存在しており、そのうち約90%は小腸の粘膜にあるクロム親和細胞と呼ばれる細胞内にあり、消化管の働きに作用していると考えられています。
体内の残り10%のセロトニンのうち、8%は血小板に収納され、血液の循環を通じて体内を巡ります。
残りの僅か2%が脳内の中枢神経に存在し、人間の精神面に大きな影響を与えていると考えられています。

セロトニンの働きが鈍ったり、不足したりするとうつ病などの精神疾患にかかったり、セロトニンの濃度が高くなるとセロトニン症候群と言われる中毒症状が現れるなど、私たち人間の精神の安定にセロトニンが大きく影響していると言えます。

なぜセロトニンが不足するのか

多くの現代人がセロトニンの不足に直面していると言われています。
昨今大きく取り上げられている、うつ病患者数の増加や、自殺者数の増加、キレる未成年の増加はセロトニンの不足との関わりが指摘されています。
人間の精神の安定に必要不可欠なセロトニンはなぜ不足してしまうのでしょうか?

現代社会特有のライフスタイルにセロトニン不足の原因がある

セロトニン研究の第一人者である東邦大学医学部の有田教授は、

昨今、大人から子供まで、セロトニン神経の減弱している方が多数見受けられます。
現代特有のライフスタイルにその原因があるのではないかというのが私の見解です。
過度なコンピュータ操作、テレビやゲーム漬けの毎日、運動不足、昼夜逆転の生活リズムなどの不規則な生活…。
本来、規則正しい生活リズムで、軽い運動や日光浴などで、自然と活性化されるはずのセロトニン神経も、これでは衰える一方です。


と、
セロトニン不足の原因を現代社会のライフスタイルである分析しています。

また、高齢による身体機能の衰えもセロトニン不足に繋がると言われています。
セロトニン神経の活動には、日光が大きく影響します。
昨今、子供達の遊びは屋内型の傾向にあります。
連日にわたり長時間ゲームをやり続けるという習慣等は、セロトニン神経が弱体化しやすくなります。

現代人は、知らず知らずのうちに慢性的なセロトニン不足に陥り、気が滅入ってうつっぽくなってしまったり、ココロのバランスが崩れてキレやすくなってしまったりするのです

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セロトニンを増やすには、生活習慣の改善から

セロトニンを増やすには『不規則な生活』や『睡眠不足』などの現代社会の生活習慣を改善することが第一です。
朝起きて太陽の光を浴び、適度な運動とバランスの良い食事を摂るなど、規則正しい生活を心がけましょう。
また、セロトニン神経はリズミカルな運動によって活性化されるという特徴があります。
最も基本的なリズム運動として、歩行運動、食事の際の咀嚼(そしゃく)、意識的な呼吸などのリズム運動があります。
これらのリズム運動はセロトニン神経を刺激して覚醒状態を高める効果があります。


セロトニンを増やすための5つのPOINT

1.早寝早起きの規則的な生活を心がける
セロトニンは、太陽の出ている日中に分泌されやすく、睡眠中は日が沈んでからは分泌が少なくなります。 これは後述のメラトニンの働きと関係していますが、 人間が本来持っている生活リズムは『日中に活動し夜は寝る』と言うもので、この原則を守ることがセロトニン神経の活性化に効果的だといわれています。
2.太陽の光を浴びる
セロトニンは、睡眠ホルモンであるメラトニンと相対する性質があります。
セロトニンは脳の覚醒を促し、メラトニンは睡眠に作用します。
メラトニンが分泌している間はセロトニンの分泌は少なく、逆にセロトニンが多く分泌されている間はメラトニンの分泌は少なくなります。
太陽の光(のような非常に強い光・明かり)を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌がストップし、代わりに脳の覚醒を促すセロトニンの分泌が活発化されるのです。
昼夜逆転の生活をしていたり、日中部屋の中にばかりいると、セロトニンとメラトニンの分泌のバランスが崩れ、不眠症になったり、うつ病になりやすくなったりしてしまうのです。
毎朝日光を浴びる行為は、セロトニンを鍛えるだけで無く、生活リズムを整えることにもつながります。
3.リズミカルな運動をする
スクワットや階段の昇り降りなど、一定のリズムを刻む運動を反復して行うとセロトニン神経が活性化されるとされています。
国民栄誉賞を受賞された、女優の森光子さんも70歳から体力維持の目的でスクワットを始めて、これまでずっと継続して来たそうです。
また、超長寿番組『徹子の部屋』の司会者でお馴染みの黒柳徹子さんも寝る前のヒンズースクワットを欠かせないそうです。
歳をとっても活躍し続ける彼女たちの元気の源も、このリズミカルな運動にあるといえるでしょう。
同様に活発な活動をされている黒柳哲子さんもスクワットを毎日しているのも知られています。
スクワットに限らず、『ウォーキング』や『深呼吸/腹式呼吸』、最近人気の『フラダンス』など、リズムの良い運動を継続して続けていくことが、セロトニン神経の活性化に役立つとされています。
また、こういった運動を5分以上行うとさらに効果的であると言われています。
4.食事をする際に、よく噛む
食事の際は必ず物を噛みますね。
このものを噛む動作(咀嚼:そしゃく) も、一定のリズムを伴った運動であるといえます。
上述のリズミカルな運動と同じく、セロトニンの活性化に役立ちます。
「運動はちょっと苦手・・・。」と、考えられている方でも、食事は必ず取るでしょうから、食事の際によく噛んで食べることを心がけてみてはいかがでしょうか。
『ものをよく噛む』と言うことは、栄養の効果的な摂取や、消化を助けることにもつながりますし、あごの筋肉の維持など、セロトニンの活性化以外にも様々なメリットがありますし、どなたでも簡単に試せる方法です。
5.トリプトファンを含む食品を食べる
セロトニンは脳内の『ほう線核』と言う部位で作り出されます。
ほう線核でセロトニンを作り出すために必要な材料の一つが『トリプトファン』と言う物質です。
トリプトファンは、体内では生成することができない物質で、食事により体内に取り込む必要があります。



※咀嚼(そしゃく)とは、単に歯で食物をかみ砕くということではありません。食物をよく噛んで砕いていき、唾液を分泌させて食物とよく混ぜ合わせ、呑み込みやすい大きさにして食物の消化吸収を高めることです。
もう少し詳しく説明すると、次のようになります。
そしゃく機能の発達と連動して、舌やあごの運動機能、口腔の容積やあごの筋肉、味覚などが発達します。また、両手との協調なども習得していきます。そして、6歳頃までに一人食べができるようになります。

※セロトニンの原料は「トリプトファン」という必須アミノ酸。

この「トリプトファン」がほう線核に入らない限り、セロトニンは生まれません。でも「トリプトファン」は、体内では作られない。食物から、摂るしかないのです。

トリプトファンが、豊富なのが赤身の魚、肉類、乳製品。でも、「トリプトファン」だけでは、「セロトニン」にはなりません!必要なのが「ビタミンB6」。

ほう線核で「ビタミンB6」と、「トリプトファン」が合成され、初めてセロトニンになるのです。「ビタミンB6」は、香辛料に多く含まれています。これらの食材をうまく組み合わせることがポイント。

セロトニン不足解消のカギは、日常生活にあったのです。


ビタミンB6は、肉をよく食べて、たんぱく質を多くとる人に必要な栄養素です。食品、食材の中では、魚に多く含まれていますが、最近は魚離れが進んで、食べない人が多くなっています。

そこで、おすすめなのがバナナです。大きめのバナナを1本(約200g)食べるだけで、1日に必要な推奨量(1.4mg)の約半分を、摂取することができます。

バナナは、ほとんどのコンビニで1年中売っていますので、お魚が苦手な人は、ビタミンB6の補給食品として、利用してみてはどうでしょう。

なお、ビタミンB6は、腸内の細菌によって作られるため、普通の食事をしていれば、不足することはあまりないようです。

※ビタミンB6が多い食品・食材

下表は、食品の食べることができる部分(可食部)100gあたりの、ビタミンB6の含有量と、一食あたりの食品、食材の量を一覧にしたものです。

<ビタミンB6の含有量と食品の目安>
食品名ビタミンB6の
含有量一食の食品、食材の目安
マグロ(赤身)1.80mg1切れ 80gでは1.44mg
カツオ0.76mg1切れ 80gでは0.61mg
さんまの開き0.54mg1枚 100gでは0.54mg
牛レバー0.89mg50gでは0.45mg
にしん0.42mg1/2尾 100gでは0.42mg
さば0.51mg1切れ 80gでは0.41mg
あじ0.40mg1尾 100gでは0.40mg
バナナ0.38mg大1本 200gでは0.76mg
その他、マイワシ、鶏ささ身、さつま芋、ひまわりの種、大豆なども、ビタミンB6を多く含む食品・食材です。
by momotaro-sakura | 2012-10-18 09:54 | 健康管理/先端医療