参院自民党 行き過ぎた抵抗戦術だ(11月4日)

参院自民党 行き過ぎた抵抗戦術だ
(11月4日)北海道新聞
 

 臨時国会が冒頭から荒れている。

 野党が過半数を占める参院で、野田佳彦首相の所信表明演説や各党の代表質問が行われなかった。

 主導したのは自民党である。先の通常国会で首相問責決議が可決されたことを理由に、審議拒否戦術をとった。「責任放棄だ」と批判されると態度を変え、27年ぶりの「緊急質問」を首相に対し行った。

 野党による数の横暴だ。国民の理解は得られない。自民党は責任を自覚し、国会正常化を急ぐべきだ。

 自民党議員が委員長の参院議院運営委員会は「問責を受けた首相の登壇はまかりならぬ」として所信表明を拒否した。これでは首相が交代しない限り首相への質疑ができない。

 確かに参院の問責決議は重い。だが法的強制力はない。決議を理由に重要法案の審議が滞るのでは立法府としての責任が果たせない。

 憲法上、首相指名は衆院が優越する。衆院解散や内閣総辞職に直結する内閣不信任決議は衆院だけに認められている。自民党の戦術は法案を人質に取り、首相の進退を事実上参院が決めようとするものだ。衆参の力関係を崩しかねず、行き過ぎだ。

 「ねじれ国会」においては、常に問責決議が可能になる。乱発は許されない。野党の審議拒否は、与党の横暴に対してほかに手段がない場合に限るべきだ。常態化すれば「参院不要論」が強まりかねない。

 今回の問責決議は自民党が協力した消費税増税を批判する内容だ。自民党が問責に加わるのは矛盾していた。その反省もなく、審議拒否の道具に使う態度は理解できない。

 所信表明演説に対する代表質問の代わりに行った緊急質問は、国会法で「質問が緊急を要するとき」にできることになっている。自民党の質問に果たして緊急性はあったのか。

 首相に衆院解散または総辞職を求めたり、尖閣諸島問題、辞任した閣僚の任命責任など最近の問題を並べたりしただけだ。衆院での首相答弁を上回る内容も引き出せなかった。

 衆院での所信表明演説の中身を追及する質問も目立った。それなら参院でも首相の演説を聞いて、堂々と質問すればいい。

 政治の駆け引きを優先させて演説を拒否し、憲政史に汚点を残した責任を自民党はどう考えているのか。

 参院の暴走を許した安倍晋三総裁のリーダーシップには疑問符がつく。総裁就任後、国会審議には応じる姿勢を示してきたが、強硬姿勢の参院自民党を抑えきれなかった。

 自民党は次期衆院選で政権奪還を目指すという。だが、このような独善的な国会運営を続けるようでは、自民党の政権担当能力が問われる。

by momotaro-sakura | 2012-11-04 10:34