<北朝鮮ミサイル発射>フィリピン沖に落下 沖縄上空を通過

<北朝鮮ミサイル発射>フィリピン沖に落下 沖縄上空を通過

2012年12月12日 11時26分 (2012年12月12日 12時13分 更新) 毎日新聞

 政府は12日午前、北朝鮮が同9時49分ごろ、北西部の「西海衛星発射場」から「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイルを発射したと発表した。同ミサイルの発射は、失敗した4月に続いて今年2回目。政府発表によると、ミサイルは同10時1分、沖縄地方の上空を通過した。政府は自衛隊に破壊措置命令を出していたが、日本領域への危険はないと判断し、破壊措置は実施しなかった。政府は外交ルートを通じて北朝鮮に抗議した。

 日米韓政府はミサイル発射は「国連安全保障理事会決議違反に当たる」として強く中止を求めていたが、北朝鮮が発射を強行したことで朝鮮半島を巡る情勢が緊迫するのは必至だ。

 政府発表によると、ミサイルは同9時58分ごろ、1段目が朝鮮半島の西方約200キロの黄海に落下。先端部分のカバーが同半島の南西約300キロの東シナ海に、2段目が同10時5分ごろ、フィリピンの東方約300キロの太平洋上に落下した。また、聯合ニュースによると、韓国軍当局は「成功したようだ」との暫定分析結果を明らかにした。

 日本政府はミサイル発射を受け、野田佳彦首相が同9時55分、(1)関係省庁は緊張感をもって情報収集・分析に努める(2)国民への情報提供に全力を尽くす(3)不測の事態に備え、万全の態勢をとる−−ことを指示した。

 藤村修官房長官は同10時20分から緊急に記者会見し、「発射は極めて遺憾で容認できるものではない。北朝鮮に対して厳重に抗議する」と北朝鮮を非難。同時に、「現在のところ、わが国領土内への落下物は確認されていない。国民は冷静に平常通りの生活、業務を行ってもらいたい」と語った。

 政府はミサイル発射を受け、エムネットと全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて、自治体などに発射情報を伝達した。また、同10時51分から首相官邸で、首相、藤村氏、玄葉光一郎外相、森本敏防衛相らが参加して緊急の安全保障会議を開き、今後の対応などを協議した。

 防衛省は、想定されるミサイルの軌道を踏まえ、海上配備型迎撃ミサイルSM3を搭載した海上自衛隊のイージス艦を東シナ海に2隻、日本海に1隻を展開。航空自衛隊の地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」(PAC3)を沖縄本島、宮古島、石垣島と東京・市ケ谷の防衛省など計7カ所に配備していた。森本氏は7日に破壊措置命令を出し、発射失敗などにより日本の領域に落下する危険性がある場合などに備え、迎撃態勢を整えていた。

4月の前回発射時は、米衛星からの早期警戒情報(SEW)があったにもかかわらず、自衛隊レーダーとのダブルチェックにこだわり、公表が43分遅れた経緯がある。今回はSEWを12日午前9時52分に防衛省が入手、その後、エムネットとJアラートで自治体などに通報した。藤村氏は同日2回目の記者会見で、「おおむね順調に対応できたと現時点では認識している」と語った。

 北朝鮮は今月1日に「10〜22日に打ち上げる」と発表したものの、10日になって「エンジン制御システムの技術的な欠陥が発見された」として打ち上げ予定日を29日まで延長すると発表。11日には発射台からミサイルを引き下げるよう見せかけたうえで発射実験を強行した。北朝鮮が偽装ともとれる動きを見せた点について、北京の外交関係者は「ミサイル防衛システムによって撃ち落とされるのを防ごうとしたのではないか」と分析した。

 また、防衛省幹部は「韓国は恥をかいた。予断を許さない状況だった」と明かした。弾道ミサイル発射では通常、予備のミサイルがあるといい、防衛省は技術的な問題が出たミサイルと短時間で入れ替えたとみている。【小山由宇、朝日弘行、北京・米村耕一】


by momotaro-sakura | 2012-12-12 13:11