「賢い電力利用」動き出す 料金変化に即応しコスト削減

日経ニュース
「賢い電力利用」動き出す 料金変化に即応しコスト削減

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK06013_W2A201C1000000/


公開日時 2012/12/12

 日本の原子力政策が不透明さを増し、電力の需給ひっ迫と電気料金の値上げ圧力が高まる中で、工場やビルといった事業所で、電力需要のピークをシフトさせる試みが活発化している。

図1 日立製作所大みか事業所における実証設備の概要
 夏のピーク時に、大型の蓄電池から放電したり、エネルギー管理システム(EMS)を導入して自動制御によって空調機器の温度を上げたり、さらに照明機器の照度を下げたりすることによって省エネとコストダウンを達成する。さらには地域のEMSと連携して、地域からの指令に基づいてピークシフトを臨機応変に行う。これによって、地域レベルでの電力需給調整に貢献する試みがスタートしている。


■スマートメーターを900カ所に設置

 「ものづくりのスマート化」を目指して、電力ピークシフトの実証実験をスタートさせたのが、電力や鉄道分野の制御システムを開発・製造する、日立製作所インフラシステム社の情報制御システム事業部である。同事業所内の各施設にEMSを分散配置(図1)。4.2メガワット時(MWh)の蓄電池、総発電量940kWの太陽光発電設備、さらに900カ所にスマートメーターを設置して、2012年7月から本格運用を開始した(図2、図3)。




図2 2012年7月より本格運用を開始した大型蓄電池。新神戸電機製の鉛蓄電池を使用している


図3 2012年5月7日から発電を開始した、最大出力440kWの太陽光発電設備

 災害時などにおける非常用のバックアップ電源として使うBCP(Business Continuity Plan)の検討と共に、夜間に充電して昼間に放電することによってピーク電力をシフトする実験が進められている。


 ピークシフト実証の手順は以下のようだ。(1)各棟に分散するEMSが各々の使用電力を予測、(2)太陽光発電システムを持つ棟の工場向けエネルギー管理システム(FEMS)が太陽光発電電力を予測、(3)使用電力から太陽光発電による電力と蓄電池で放電可能な分を差し引いた目標電力を設定、(4)実際のピーク時に太陽光発電分に加えて蓄電池からの放電によってピークシフトを実施、となる。


■契約電力量23%削減に成功

 この結果、2010年における夏季のピーク電力が7400k~7500kWだったものを、太陽光と蓄電池を使うことで、5700kWまで下げられたという。23%の低減である。その分、電力会社との契約電力と受電電力量が下げられ、コストダウンも達成したとしている。


 加えて同社は空調制御によるピークカットの実験も進めている。各棟のEMSが電力需要を監視しており、それが契約電力に近くなったら警報を発して半数の空調機器を停止し、契約電力を超過しそうになったらすべての空調機器を停止させるといった制御をかける実験を行った。その結果、ある棟では、約150kWの消費電力を削減できたとしている。


 今後同社は、ピークシフトの効果をさらに高めるために、生産計画と連動した試みもスタートさせる。生産計画から生産に必要なエネルギー需要を試算し、ピーク部分について生産計画を変えることによってシフトさせる効果を盛り込む予定だ。


 将来的には、茨城県日立市の「スマート工業都市構想」と連携し、同社のスマート工場が主導する形で、地域全体のエネルギーの最適利用に貢献していきたいとしている。

by momotaro-sakura | 2012-12-12 13:53