日立製作所は13日、インドで取締役会を開く。

日立製作所は13日、インドで取締役会を開く。

創業102年の日立が取締役会を海外で開くのは初めて。

インフラ事業で高い成長を見込むインド市場の重要性を社内外にアピールする狙い。



インド政府は4月開始の5カ年計画で、発電システムなどのインフラ開発に、総額1兆ドル(82兆円)を投じる方針。



火力発電設備の事業統合を決めた三菱重工業との連携効果が試される場にもなりそうだ。
 

11日、肌寒い夜のインディラ・ガンジー空港に日立製作所社長の中西宏明(66)が降り立った。12日には会長の川村隆(72)も到着。取締役会を開く13日には外国人3人を含む13人のメンバー全員がニューデリーに集結する。
 

取締役会では、インド事業の今後について意見交換する。

事業戦略をとりまとめたうえで、中西らが記者発表する予定。

ただ、「現地で議論することにそれほどの意味はない」(日立役員)。



川村・中西体制で進める経営のグローバル化と、市場としてのインドの重要性を、内外に示す意味合いが大きい。
 

実は日立のインド事業の歴史は古い。1930年代に家庭用扇風機を輸出したのがその始まり。第二次世界大戦後は水力発電所や火力発電所の設備などを納入した実績もあるが、「どの事業も単発で、次には続かなかった」。



安定した日本市場で収益を上げられたため、海外市場の中でもリスクの大きかったインドにあえて力を入れる必要がなかったためだ。
 

だが今、その構図はガラリと変わった。景気の長期低迷と少子化による先細りに悩む日本に対し、インドでは人口増加を背景に中長期的な経済成長への期待は大きい。
 

「今後の事業戦略におけるインドの位置づけは極めて重要だ」。

12日に西部の都市、アーメダバードに完成した産業用インバーターを生産する工場の開所式であいさつした中西は力をこめた。
 

日立は現在、インドを日本、北米、欧州、東南アジア、中国に続く6番目の中核地域と位置付ける。



だが11年度のインド事業の売上高は1000億円で、中国の10分の1以下にとどまる。



家庭用エアコンでシェア首位を持つなど意外な強みはあるが、売り上げの大半は建機。日立建機の攻勢が目立つ。ほかには昇降機や発電所用のボイラーを受注している程度で、開拓余地は大きい。
 

今後、工場向けの産業用機器や空調機器、鉄道や発電関連など幅広くインフラ設備を売り込む方針だが、巨大市場の風穴を開けるカギの1つが、三菱重工との連携だ。
 

経済協力開発機構(OECD)によると、35年までにインドでは154兆円規模の発電インフラ投資が見込めるという。



その中心が、三菱重工との事業統合を決めた火力発電だ。

三菱重工と日立はライバルとして受注を競ってきたが、これからはタッグを組む。

国内勢同士のムダなたたき合いを避けることができるのは大きい。
 

三菱重工はすでにインド企業との合弁で火力発電に使う蒸気タービンを生産。

日立も14年に別の現地企業とタービンやボイラーの生産を始める計画で生産の分担や部品の共同調達などが進めば、コスト削減効果も出る。
 

モノレールや地下鉄などの都市交通システムも期待できる分野だ。

インドでは25年までに7000両規模の整備計画がある。



システム全体のとりまとめのノウハウを持つ三菱重工に対し、日立は車両や運行管理システムに強い



「補完関係がある」(三菱重工の大宮英明社長)として事業統合を検討する方針を示しており、実現すれば競争力は高まりそうだ。
 

三菱・日立連合に立ちはだかるのは、独シーメンス、米ゼネラル・エレクトリック(GE)など先行する欧米のインフラの巨人。低コストが武器の中国・韓国勢も脅威だ。



日本の重電大手も黙って見ているわけではない。



東芝はインドの社会インフラ事業の売上高を2014年度に11年度比約7倍の1000億円超にする計画を掲げる。
 

火力発電設備を主体に、昇降機や鉄道など社会インフラ全般の事業育成を急ぐ。南部バンガロールにある開発拠点の技術者を、14年度までに400人から600人に増員。より現地のニーズにあったソフトを開発する体制を整え、追い上げを狙う。



三菱電機も都市交通システムの需要増を見越し、インドに初の鉄道部品工場を建設する方針。投資額は20億円前後とみられ、14年前半の稼働を目指す。
 

ここ数年、新興国事業の柱だった中国経済が減速。尖閣諸島を巡る問題などもあって先行き不透明感が広がる中、伸びしろの大きいインドの重要性は増す一方。



今後、各国勢が入り乱れる国際競争が加速する見通し。

十分な利益を確保しながら、市場を開拓していくのは簡単ではない。
 

海外インフラ事業の拡大、三菱重工との連携――。

インド事業の今後は川村、中西が打ち出した日立の次の100年に向けた成長戦略を占う試金石となりそうだ。


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日立のインド事業、15年度売上高3倍 現地で取締役会

SANKEI BIZ 2012.12.14 05:00
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 日立製作所は13日、インドの首都ニューデリーで取締役会を開いた。同社が海外で取締役会を開くのは1910年の創業以来初めて。川村隆会長や中西宏明社長のほか、社外取締役7人を含む取締役13人全員が出席。インドで取締役会を開くことで、同国重視の姿勢をアピール。鉄道や発電分野などでの受注拡大につなげる狙いがある。

 中西社長は同日、ニューデリーで開いた会見でインド事業の2015年度の連結売上高を11年度比3倍の3000億円に引き上げる計画を発表した。

 石炭火力発電所向けボイラーや都市交通など社会インフラ事業の強化に向け15年度までに、現地人員を同約2倍の1万3000人に増員するほか、12年度からの4年間で合計700億円を投資する。

 現地企業との連携強化による営業網の拡充に加え、現地市場に対応した製品開発を進めるための研究開発機能の拡充、部品の調達・生産の現地化の加速などに取り組む方針という。会見で中西社長は「インドで大きなチャレンジをする」と述べた。

by momotaro-sakura | 2012-12-14 13:15