藻類から高機能油脂 三井物産、米バイオVBに開発委託

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藻類から高機能油脂 三井物産、米バイオVBに開発委託  藻類にでんぷんなどの栄養を与え燃料や化学品などに使う高機能油脂を生産するビジネスが広がっている。大手商社の三井物産もバイオケミカル事業の将来性に着目。この分野で先頭を走る米バイオベンチャーのソラザイム(カリフォルニア州)と研究開発の委託契約を締結した。三井物産が開発費を負担し、思い通りの油脂をつくる藻類の開発に成功すれば全世界の独占使用権を獲得できる。商社にとって新たなビジネスモデルで次世代事業の創出に挑む。

ソラザイムの油脂工場(米イリノイ州)
 ソラザイムは様々な高機能油脂(特定の脂肪酸を多く含む油脂)を作り出す藻類を開発するバイオ技術が持ち味で、膨大な「藻類ライブラリー」を保有する。これまで化粧品用、燃料用、食品添加用という3分野の油脂開発・生産に力を入れ、昨年には仏菓子メーカーと共同で年産5000トン規模の油脂製造プラントを稼働させた。穀物メジャーのブンゲとも10万トン規模の大型油脂プラントを建設中で2013年末に完成させる予定だ。

 化粧品分野では仏化粧品小売りチェーンのセフォラが扱うスキンケア製品に油脂が採用されたり、燃料分野では米エネルギー省、米国海軍と連携して開発・商用化を進めたりしてきた。

 そして今、ソラザイムは油脂市場の本丸である化学品用途の本格開拓に動いている。これに目を付けたのが三井物産。化粧品などで実績のあるソラザイムの技術力を高く評価し、洗剤の肌荒れ防止成分など特定の高機能油脂を生産する3種類の藻類の開発をソラザイムに委託した。拠出する研究開発委託費は4年間で合計18億円にのぼる。

 藻類からの生産を目指す1つ目が潤滑油に添加する油脂で、高温・低温の状況下でも潤滑油の性質を安定させることができる。2つ目が家庭用洗剤やシャンプーなどに使う界面活性剤の原料油脂。肌荒れしにくく泡立ちもなめらかになる。3つ目がポリプロピレンなどの合成樹脂に混ぜて加工・成型を容易にする油脂だ。

4年後をメドにこれら3種類の藻類の開発を終えて油脂の量産技術の確立を目指す。ソラザイムが藻類の開発に成功すれば、三井物産はブラジルを除く全世界での独占使用権を獲得できる。事業化する際は自ら生産設備を持つのではなく、米国のバイオ関連企業などに量産を委託する。世界各国の潤滑油、日用品、合成樹脂などのメーカーに販売する計画だ。

 こうした機能油脂はこれまでパームなど原料の栽培地域が東南アジアに限られ容易に増産できない問題があった。コスト面でも藻類を使った生産手法は、パームの種などから微量の特定成分を抽出する現在の生産方法に比べ有利になると三井物産では見ている。

 藻類に与える栄養分はトウモロコシやサトウキビなどからとれる糖質分が当面は主体となる見通しだが、食用と競合しないセルロース原料も活用する考えだ。

 三井物産の試算によると今回事業化を目指す3種類の高機能油脂の市場規模は約2000億円。藻類による量産技術が確立できれば、このうち10%程度のシェアを獲得できると同社では見ている。

 同社は昨年、10年先の次世代ビジネスを創出するため、短期の収益性を一切問わない新たな投資制度を導入。今回はその第1弾の案件となる。
日経新聞(産業部 佐藤昌和)
by momotaro-sakura | 2013-05-25 13:04 | 我が家の菜園