日本IBM内で急速に解雇や給与の減額

日本IBM内で急速に解雇や給与の減額が進む背景には、「米IBMで初の女性トップとなった社長兼最高経営責任者(CEO)のジニー・ロメッティ氏が発した、『全世界で8000人の削減』という号令があると見られています」(IBM関係者)。

 日本IBMの中堅社員は、「新興国市場の開拓に注力するIBMは、インドや中国では雇用を増やしているので、狙われているのは日本などの成熟国だと思います。すでに、客先の情報システムの運用を丸請けするアウトソーシング・サービスでは、要員を日本から中国やインドに切り替えつつあります」と明かす。

 グローバル企業・IBM内で進む、こうした世界規模でヒト、モノ、カネを最も安い市場から調達しようとする波は、IT産業で働く人たちだけの問題ではなく、日本で働くすべての人々に、押し寄せようとしている。

 そして安倍内閣のブレーンの間でも、「世界の潮流に乗り、高コストな日本の人材からアジアなどの安い人材にシフトさせるため、雇用規制も保護も取っ払って、企業はどんどん儲けよう」という意図が垣間見える議論が勇ましい。解雇規制緩和の議論も、その一環だ。例えば、産業競争力会議の第4回会議で、民間議員の一人に新浪剛史・ローソン社長は「人材の過剰在庫は存在する」との認識を示した上で、こんな持論を述べている。

「勤務態度が著しく悪く、または結果を著しく出せていない社員はほかの社員に対して迷惑をかけている。(略)(彼らの)解雇が会社として検討しやすくなる。(解雇規制緩和を)是非今後検討していただきたい」

 生身の人間を「在庫」扱いしていいのか? 安倍内閣が目指す雇用改革の基礎には、こんな短絡的な発想が見え隠れするのだが、それを先取りするのが日本IBMなのだ。

 日本経済新聞電子版(2012年6月4日)によれば、ロメッティ氏は米IBMのCEOに就任早々、「日本の労働法制、解雇法制がどうなっているのか調査しろ」と社内に指示を出したという。その結果が、日本IBMの一連の解雇だとすれば、日本の労働法制もずいぶん見くびられたものだ。
   
 前出の並木弁護士は言う。

「『人が動く』と称し、解雇しやすいジョブ型正社員を導入したり、解雇の金銭解決を検討する。日本IBMの動きは、そうした『安倍成長戦略の毒味役』なんです」

 ちなみに、「毒味役」とは、人事制度の改革に取り組んだ日本IBMの大歳卓麻元社長が、ある雑誌インタビューで「日本IBMは日本の人事制度の毒味役になる」という文脈で使った言葉だ
by momotaro-sakura | 2013-07-18 08:18 | ブログ