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シャープは生き残れるか
シャープは生き残れるか
公開日時2013/3/7 3:30
経営再建中のシャープが韓国サムスン電子から出資を受けることで合意した。月内にサムスンが103億円を出資し、シャープ株の3%を取得する。
液晶を中心に長年のライバルであるサムスンからの資本受け入れは、シャープにとって苦渋の決断だったろう。だが、工場稼働率が低迷し、財務面でも厳しい状態が続く中で、独力で再生できる見通しは立ってない。昨春からの台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との提携交渉も行き詰まり、残された選択肢は多くなかった。
もちろんこれでシャープの再建が保証されたわけではない。同社はこれまで米アップル向けの部品供給が多く、そのアップルとサムスンは特許訴訟などを含めて激しくぶつかり合う。「陣営の乗り換え」とも見えるサムスンとの提携がシャープの既存事業に悪影響を及ぼさないかも注視したい。
今秋に2千億円の転換社債の償還が控え、資金繰りの難局もなお続く。三菱東京UFJ銀行など主取引銀行がシャープの再建可能性をどう判断するかで会社の形は大きく変わるだろう。
シャープに限らず、日本の家電産業は生き残りの瀬戸際にある。パナソニックは一度は廃止した事業部制を12年ぶりに復活する。開発と販売の一体感を強め、顧客視点の経営を取り戻すという。
ソニーも同社の象徴とされた米マンハッタンの本社ビルを売却する。電機事業の不振を資産売却などで補う苦肉の策である。
家電産業の苦境から浮かび上がるのは、経営のメリハリ不足だ。米IBMや独シーメンス、オランダ・フィリップスなど米欧企業は事業を大胆に取捨選択し、よみがえった。日本勢も過去の成功体験にとらわれることなく、未来に向けて自らの強みを再定義することが復活への一歩である。
意思決定のスピード感も重要だ。事態が悪化してからあわてて対処しても、効果は小さい。嵐が来る前にそれを先取りして手を打つのが、経営の役割である。