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中国にバブル崩壊の不安

中国にバブル崩壊の不安
株 半月で16%下落


不動産価格の上昇を受け、都市部ではビル建設が進む(20日、北京で)=佐藤俊和撮影 中国で、株価や不動産価格の上昇による「資産バブル」に対する警戒感が強まっている。上海株式市場の総合指数は8月に入ってから下落基調に転じ、早くもバブル崩壊の可能性がささやかれ始めた。

 現在のバブル的状況は景気対策や金融緩和策の「副作用」とも言え、実体経済の回復に確信が持てない中、中国の政策当局は難しいかじ取りを迫られている。

警 鐘

 20日の上海株価総合指数は反発し、前日終値比では4・52%高の2911・58で取引を終えた。ただ、4日に付けた今年最高値の3472・19と比べ、約半月で16%も下落した計算だ。

 大幅下落のきっかけは、中国人民銀行が5日発表した金融政策執行報告で、インフレ圧力の存在などを指摘し「流動性を機動的に微調整する」という方針を示したことにある。これが、金融引き締めに転じるシグナルと受け止められ、今年に入ってからの上昇率が9割を超えていた株価の足を引っ張った。

 一方、昨年後半は前月比で下落が続いていた不動産価格は3月から上昇に転じ、7月は前月比0・9%の高い伸びを記録。北京では同月、平均分譲価格2771万元(約3億8000万円)の超高級マンションも登場した。

 こうしたバブル的状況に対し、国家情報センター専門家委員会の高輝清委員は15日の経済フォーラムで、「資産バブルは国家経済全体を傷つける。資産価格のコントロールを強めるべきだ」と警鐘を鳴らした。

要 因
 これまでの資産価格上昇の最大の要因は、財政・金融両面での景気刺激策だ。

 世界的な金融危機を受けて、中国政府は昨秋以降、総額4兆元(約55兆円)の経済対策を打ち出すとともに、融資規制の緩和など不動産市場活性化策を始めた。さらに、金融緩和の影響で、1~7月の中国国内の新規貸出総額は7兆7300億元(約107兆円)に達した。


 これらの資金の多くが不動産市場や株式市場に流れ込み、資産価格の上昇を招いて「個人消費を後押ししている」(日系自動車メーカー)とみられている。それだけに、資産価格が大幅下落すれば、回復基調にある中国景気が一気に冷や水を浴びかねない。

課 題
 今回の株安は一時的な調整局面との見方が強いが、「ミニバブル崩壊の印象が強い」(みずほ証券の上野泰也氏)との指摘も出ている。各銀行が今年の新規融資枠の大半を使い切り、今後は市場への資金供給が大幅減少するとの懸念も聞かれ始めた。

 4~6月期の実質国内総生産(GDP)が前年同期比7・9%増と持ち直した中国経済だが、昨年までの高成長を支えてきた輸出は不振が続き、課題とする内需拡大も順調とは言い難い。「バブル崩壊」への懸念は、景気の先行きが十分見通せないという不安感の裏返しとも言える。

 中国政府は、景気動向に応じて追加的な対策を打ち出す方針を示すとともに、「適度な金融緩和政策の堅持」を繰り返し訴えている。世界経済の牽引(けんいん)役を期待される中国には、資産バブル的な状況から軟着陸するための政策運営が求められている。(中国総局 寺村暁人)

(2009年8月21日 読売新聞)
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by momotaro-sakura | 2009-08-23 13:34 | ブログ