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法案強行採決 数の論理を振りかざすのか

法案強行採決 数の論理を振りかざすのか
2009年11月21日 琉球新報
 金融機関に返済猶予などを促す中小企業金融円滑化法案が、20日未明の衆院本会議で強行採決された。与党が圧倒的な「数の力」を見せつけた形だが、わずか2日の審議である。法案が吟味されたとはとても思えない。
 与党が野党欠席のまま採決を強行する手法に対しては、野党時代の民主党が「議会のルールを無視した手段を選ばない卑劣なやり方だ」と反発。社民、国民新の両党も、それぞれ「政権のおごりだ」「国民から遊離している」と痛烈に批判した経緯がある。
 政権を奪取した途端に、スタンスを百八十度変える姿勢はいかにもおかしい。議会政治の道理に合わないし、議会軽視とのそしりは免れまい。
 先の衆院選で、民主党は300議席超の記録的大勝を果たした。社民、国民新両党と組んだ連立政権は、全衆院議員の3分の2を占める巨大与党になった。
 有権者が選択した結果ではあるが、巨大化で「数の論理」を振りかざすことまでは有権者も望んではいないだろう。それを念頭に置いてか、勝利宣言の記者会見で、民主党代表の鳩山由紀夫氏は「数におごってはならない。国会は野党のためにある」と謙虚だった。
 首相就任後の所信表明でも「真に国民のためになる議論を、力の限り、この国会でぶつけ合っていこう」と呼び掛けていた。
 その演説から3週間余り。鳩山政権の初の法案は、自民、公明両党からの「数の横暴」批判をよそに、与党の民主、社民、国民新3党と野党の共産党の賛成多数で可決、参院に送付された。共産党は質疑で審議続行を主張したが、賛成に回った。
 与党時代に強行採決を是としてきた自公両党も言えた義理ではないが、いかなる法案であっても、真に国民のための中身になっているか、調べただす最小限の時間は必要だ。提案者側は説明を尽くす義務を負う。
 法案名と中身が合致しないこともある。自公政権下の国民保護法や障害者自立支援法などが顕著な例で、要注意だろう。
 金融円滑化法案にしろ、返済猶予だから賛成という単純なものではあるまい。実効性や国民負担の恐れなどを問う声に、丁寧かつ明解に答えてくれないと困る。政治への信頼回復は、健全な国会論戦から始まると心すべきだ。
by momotaro-sakura | 2009-11-21 10:57 | ブログ