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携帯向け地上デジタル放送 NHKと民放、来年4月スタート

携帯向け地上デジタル放送 NHKと民放、来年4月スタート

 NHKと関東の民放七局は二十七日、携帯電話やカーナビゲーションなど携帯端末向けの地上デジタル放送を平成十八年四月一日に開始すると発表した。全国二十九都府県で一斉に放送開始する。対応チューナーを内蔵した専用の携帯電話機や車載小型テレビなどが来春までに投入され、地上テレビと同じ放送が外出先でも無料で視聴できるようになる。
 新サービスは、通常放送のほか、同一画面上にニュースや天気予報、災害情報、番組関連情報などのデータも表示できる。また、クイズ番組に視聴者が同時に参加できる双方向のサービスも可能になる。
 放送各局は新サービスを、携帯端末向け通信周波数帯域の中のひとつ(ワンセグメント)を利用することから「ワンセグ」という共通呼称に統一して普及を図る。
 アナログ放送対応の携帯端末はあったが、デジタル化によって弱点だった移動中の画質劣化や音声の途切れが少なくなる。
 地上デジタル放送はすでに、一般家庭のテレビ向けには普及が進んでいる。八月末では三大都市圏を中心に二千四十万世帯で視聴可能。来年末までには全国の都道府県所在地など主要都市での視聴も可能になる予定で、主要局では携帯端末向けも全国主要都市エリアまで拡大される見通しだ。
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≪放送と通信の融合 課題は費用対効果≫
 NHKと民放各局が携帯電話向け地上デジタル放送のほか、独自にインターネット配信も開始するなど、「放送と通信の融合」に本腰を入れ始めた。背景には、若者を中心とした視聴者の興味が、インターネットや携帯電話に向かっていることに着目、新たなメディア時代を見据えて放送各局は、一方通行だった放送ビジネスから、新次元に踏み出すことになる。
 フジテレビジョンなど在京民放キー局四社は今春、携帯電話向け情報配信会社のインデックスと資本・業務提携した。携帯電話利用者約九千万人を取り込むため、携帯コンテンツ(情報の内容)に強みを持つインデックスのノウハウを取り込むのが狙いだ。
 日本テレビ放送網は、十月二十八日未明から有料ネット配信の「第2日本テレビ」を始動。過去のニュース映像約二万本や短編映画などを流す。フジテレビは七月からスポーツ番組などの配信を開始。有線放送最大手のUSENや、ソフトバンクから番組供給の働きかけもある。
 背景には、携帯やネットの台頭で放送と広告をセットにした従来型のビジネスモデルが限界に近づいていることがある。携帯などへ「出口」を拡大することで、視聴者を呼び戻し、番組関連グッズ販売や広告増につなげたい思惑がある。
 通信会社イー・アクセスの子会社に資本参加したTBSの財津敬三専務は、こうした状況について、「メディアは変革期にある」と、今後の携帯ビジネス参入への強い期待感を示す。
 ただ、課題も多い。携帯電話での地上デジタル放送は携帯各社にとっては開発投資が増加する一方、それに見合う「費用対効果」が少ないとの声は多い。電話回線を使わない無料放送ではもうけにならないばかりか、テレビ視聴が増えれば「通話やデータ通信の利用時間が減る」(携帯電話大手幹部)からだ。
 放送各社が狙うような放送と通信の融合ビジネスは、別々に発展してきた業界を結びつける新たなビジネスモデル。花開くには、関係業界の利害調整も重要なテーマになる。(冨岡耕)
(産経新聞) - 9月28日2時39分更新
by momotaro-sakura | 2005-09-28 17:58