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社説1 公務員純減を小さな政府の出発点に(9/28)

社説1 公務員純減を小さな政府の出発点に(9/28)
 衆院解散・総選挙のあおりで中断していた政府の経済財政諮問会議が論議を再開した。この日は民間議員が国家公務員の定員の純減目標を「5年間で5%以上」とするほか「人件費総額の国内総生産(GDP)に対する比率を今後の10年間で半減させる」ことなどを提言した。地方を含め、公務員の純減は総人件費削減の大きな柱。純減目標を手始めにして、小さな政府へ向け、着実に一歩を踏み出す必要がある。

 国の財政は危機的な状況だ。国債、借入金など「国の借金」は6月末で795兆円に達し過去最高を更新した。公務員自らが身を切る「官のリストラ」は待ったなしだ。

 民間議員が提言した純減目標の対象となるのは日本郵政公社の職員を除く68万7000人で、国会、裁判所の職員や自衛官らを含む。行政職公務員の定員は約33万人だ。

 政府は行政職を5年で10%削減する計画を来月上旬に閣議決定する。これには増員分が入っておらず、その差し引きで純減幅が決まる。独立行政法人化などの特殊要因を除くと2003年度以降、非現業部門の国家公務員の純減は毎年0.2%未満で、従来手法の踏襲では5年で1%程度の純減にしかならない。大幅な純減には発想の転換が必要だ。

 民間議員は(1)地方支分部局・地方事務所や、補助金・規制担当部局などの重点的な削減(2)市場化テストの全面導入による官の事務事業の民間開放――などの方針を示した。こうした視点で民間に仕事を委ね、定員を減らすことが不可欠である。

 定員純減の効果は国よりも地方の方が大きい。地方公務員の総数は約308万人だが、市町村合併の進展もあり、人員削減の余地はまだある。総務省は3月にまとめた地方行革指針で今年度から2009年度までの集中改革期間中に4.6%超純減する数値目標を打ち出した。国が5%以上の純減を目指すなら、地方もそれに準じるのは当然だろう。

 経財諮問会議はいずれもGDP比で、国の人件費半減のほか、政策金融残高の半減、政策融資の証券化などを通じた政府資産・債務の半減を三本柱に「政府規模の10年内の半減」を打ち出す考え。計算の根拠をみると、人件費半減には日本郵政公社の民営化に伴う26万人の民間人化も含むなど、やや大げさな印象もあるほか、非現実的な部分もあるようだが、目標や達成時期を掲げるのはよい。政府規模の圧縮を言うなら歳出削減や国民負担率などについても目標を立てて「小さな政府」づくりの実効をあげるよう望みたい。 
by momotaro-sakura | 2005-09-28 18:37