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イラク陸自、来年前半の撤収検討…米英豪と協議へ

イラク陸自、来年前半の撤収検討…米英豪と協議へ

 政府は、イラク南部サマワで復興支援活動を実施している陸上自衛隊について、来年前半に撤収を開始する方向で検討に入った。複数の政府筋が28日、明らかにした。

 今年末にイラクの本格政権が発足する予定のうえ、サマワの治安維持を担当する英国や豪州軍が来年5月前後の撤収を検討していることを踏まえたものだ。イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊の活動の基本計画については、今年12月14日に期限が切れる派遣期間を1年程度延長する方向だ。

 ただ、イラクの治安回復が遅れ、多国籍軍全体のイラク駐留が長引いた場合は、陸自の撤収時期がずれ込む可能性もある。

 日米英豪4か国は29日から10月3日まで、ロンドンで外務・防衛担当幹部や制服組らの会議を開き、サマワに駐留する陸自と英豪軍の今後の活動を協議する。

 サマワでは現在、陸自約600人が公共施設の復旧や医療支援を行う一方、豪州軍約450人が駐留している。イラク南部の治安維持を担当する英軍も、サマワを含むムサンナ県全体で約600人が活動している。豪州軍は来年5月に派遣期限を迎える際に撤収する可能性を日本政府に伝えている。英軍も年明け以降、サマワなど治安の安定している地域から順次、部隊の撤収を検討している。日本政府は「英豪軍が撤収した場合、陸自の安全確保は難しい」と判断している。

 サマワの復興にも一定のめどが立つ中、「陸自の活動から政府開発援助(ODA)などに軸足を移す必要がある」との指摘もある。

 政府は2003年12月、イラク特措法に基づく自衛隊のイラク派遣の基本計画を閣議決定し、昨年12月、1年間延長した。今年12月14日に再び期限を迎えるが、イラク移行政府が駐留延長を日本に要請しており、日本政府は「多国籍軍が年明け以降も駐留するのは確実で、自衛隊だけ撤収はできない」としている。

 ただ、政府・与党内では「陸自を無期限に派遣するわけにはいかない」として、派遣延長の際に撤収時期のめどを示す考えが有力だ。政府筋は28日、「各国は、撤収の時期を真剣に考えている。自衛隊も『出口』を説明しないと、世論の納得は得られないだろう」と語った。
by momotaro-sakura | 2005-09-29 04:44