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崩壊危機、「戦艦大和」の慰霊塔を修復へ…徳之島

崩壊危機、「戦艦大和」の慰霊塔を修復へ…徳之島
12月13日20時31分配信 読売新聞


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修復に向けた調査が行われた徳之島・犬田布岬の慰霊塔

 1945年4月7日に撃沈された戦艦大和をはじめとする旧日本海軍第2艦隊の戦没者を弔うため、鹿児島県・徳之島の犬田布(いぬたぶ)岬に立つ慰霊塔が風雨と塩害にさらされて崩壊の危機にあり、地元の伊仙町が修復することになった。

 高さ24メートルの慰霊塔は建立から41年を経てコンクリート片が剥落(はくらく)しており、遺族らから修復を望む声が上がっていた。町は募金活動で全国から寄せられた約1600万円を使う。

 「戦艦大和を旗艦とする艦隊戦士慰霊塔」は、国会議員らの呼びかけによる全国からの募金で68年5月に完成した。実際の沈没地点は徳之島よりも同県枕崎市の坊岬(ぼうのみさき)の方が近く、同市にも慰霊碑がある。ただ元乗組員の吉田満著「戦艦大和ノ最期」に徳之島沖で沈んだとの記述があり、沈没地点は戦後長らく徳之島沖とされてきた。

 慰霊塔は、文化勲章を受章した鹿児島市の彫刻家中村晋也さん(83)の作品で、コンクリート製の巨大な塔は大和の艦橋から喫水線までを表している。

 その80メートル先の岩場には、炎に包まれ海に散った兵士の姿をイメージした「海炎の像」がある。塔と像は、大和の艦橋と艦首になぞらえており、大和の姿をほうふつとさせる作品になっている。

 慰霊塔は塩害や風化が激しく、10年ほど前からコンクリート片が頭上からはがれ落ちてきたり、周囲のコンクリート柱が崩れたりして近づけない状態になっている。放置すれば崩落の可能性もあるという。町は2006年7月から募金を呼びかけ、元特攻隊員らの団体や遺族会にも協力を求めた。今年4月には東京で寄付を募るコンサートを開催した。

 その結果、これまでに約1600万円が集まった。大半は一口数千円だが、200万円の寄付も2件あった。町は解体、再建を検討したが、中村さんが思いを込めた作品を残したい、と今の姿のまま修復することにした。

 町は、修復に向けた調査を実施。来年1月から約2か月間の予定で、ひび割れや穴には樹脂を注入するなどしたうえで全体をアクリルコーティングし、さらなる劣化を防ぐ。町は例年、4月7日に慰霊祭を開いており、修復作業は来年の慰霊祭に間に合わせる。

 「当時は『英霊がここからずぶぬれで帰ってくるのではないだろうか』と考えながら設計した。町の人が大切にしてくれて本当にうれしい」と中村さん。父が、大和と共に沈没した軽巡洋艦「矢矧(やはぎ)」の乗組員だった横浜市泉区の西岡登志美さん(66)も「これで安心して父たちの慰霊を続けられる」と感謝した。

 伊仙町の大久保明町長(55)は「次世代に二度と戦争はしてはならないと伝えるためのシンボルとして守っていきたい。戦後65年となる来年の慰霊祭は盛大に行いたい」と話している。(森太) .
by momotaro-sakura | 2009-12-14 09:08 | ブログ