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2009年日本サッカー界、今年の漢字は「気」

2009年12月23日 10時11分
2009年日本サッカー界、今年の漢字は「気」
■気になる黒星。すべてがアウェイ

 2009年の世相を漢字一文字で表す「今年の漢字」に、「新」が選ばれた。民主党の新政権発足やオバマ米国大統領の就任、裁判員制度などのスタート、さらには新型インフルエンザの猛威などが主な理由だという。マリナーズのイチロー選手の9年連続200本安打の新記録も、「新」を表すトピックに含まれているようだ。

 日本のサッカー界を、一文字で表すとしたら──。

 J1の優勝争いが混戦を極め、浦和レッズの混迷やジュビロ磐田の混乱が印象的だった昨年2008年は、「混」の一文字がふさわしかった。鹿島が最終節でJ1リーグの優勝を決め、湘南ベルマーレもラストゲームでJ1昇格を決めた今シーズンも、「混」は当てはまる。しかし、今年なりのトピックはもちろんあるわけで、やはり違う一文字を見つけたいと思う。

 09年のトピックを、改めて整理してみる。日本代表はアジア予選を突破し、1998年から4大会連続となるW杯出場を決めた。岡田武史監督はベスト4進出という野心的な目標を掲げ、来年6月開幕の本大会へチームを磨き上げている。ここから浮上するのは「四」の一文字だ。

 09年は17試合を戦い、11勝3分け3敗の成績が残った。勝率だけなら十分に及第点がつくが、三つの黒星がすべてアウェイなのは気になる。準備不足は避けられなかった1月のバーレーン戦はともかく、6月のW杯アジア最終予選でオーストラリアに1-2で、9月のテストマッチでオランダに0-3で敗れたのは、世界との距離を感じさせるものだった。

 オランダ戦を反省材料とした世界戦略や意識改革は進んでいるが、W杯本大会で対戦する国はテストマッチと本気度が違う。日本の特徴を詳細に分析してくる。得点パターンのひとつとして取り組んできたニアゾーンも、簡単には使わせてもらえないだろう。残り半年あまりで、果たしてどこまでレベルアップできるのか。チームの真価が問われる。

■中山雅史、コンサドーレ札幌入りが有力

 J1リーグでは、鹿島アントラーズが史上初の3連覇を達成した。シーズン中盤のもたつきはあったものの、最終的には勝負強さが光ったシーズンと言うことができる。年間ベストイレブンには、岩政大樹、内田篤人、小笠原満男の3人が選出された。鹿島が示すキーワードは「三」になる。

 年間ベストイレブンで最多7度目の選出となった遠藤保仁は、日本代表でもガンバ大阪でも背番号「7」を背負う。日本人では7年ぶりとなるAFC(アジアサッカー連盟)の年間最優秀選手も受賞した。ヤットこと遠藤がもたらす一文字は「七」である。

 ちなみに、今シーズンの年間ベストイレブンには、17年目で初めて外国人選手が選出されなかった。川島永嗣、長友佑都、石川直宏、岡崎慎司、前田遼一らが初めて名を連ねたことによるものであり、特筆すべき活躍をした外国人選手がいなかったことも大きな理由としてあげられる。ダヴィ(前名古屋グランパス)やレアンドロ(前ガンバ大阪)のように、アジアチャンピオンズリーグで得点を重ねるブラジル人ストライカーが、すぐさま中東のクラブへ引き抜かれてしまうことも影響しているだろう。

 J1リーグの得点王には、2002年の高原直泰以来となる日本人選手が就任した。ベストイレブンも受賞した前田である。ジュビロ所属では中山雅史、高原に次ぐ3人目の名誉だ。

 今シーズンから上位3チームが自動昇格となるJ2では、ベガルタ仙台、セレッソ大阪、湘南ベルマーレが歓喜をつかんだ。仙台は7シーズンぶり、セレッソは4シーズンぶり、湘南は11シーズンぶり(!)の返り咲きである。

 逆にJ2降格の現実に直面したのは、大分トリニータ、ジェフ千葉、柏レイソルの3チームだ。大分と柏は二度目の降格で、ジェフはクラブ史上初めての下部リーグ降格となってしまった。経営難の大分は若手選手の移籍を食い止めるのが難しく、新シーズンは苦しい戦いを強いられそうだ。

 所属クラブから解雇通告を受けたビッグネームもいる。ゴンこと中山雅史である。前身のヤマハ発動機からジュビロ一筋でプレーしてきたベテランは、42歳にして新天地を求めることとなった。すでにJ2のクラブなどから複数のオファーを受けており、コンサドーレ札幌入りが有力視されている。来シーズンはJ2を舞台に、カズ(横浜FC)との超ベテラン対決が実現するかもしれない。

■今年の一文字は「気」

 海外リーグでは、本田圭佑が目ざましい活躍を見せた。08-09シーズンは所属するVVVフェンロ(オランダ)を1部リーグ昇格へ導き、自らはMVPを獲得した。今シーズンも開幕から大黒柱として奮闘し、キャプテンマークを巻いてプレーしている。サッカー界では2009年の顔と言ってもいい存在だ。

 さて、今年の一文字には何がふさわしいか。

 「気」を選びたいと思う。前述したように、日本代表の岡田監督はベスト4を目ざしている。世界の4強入りがどれほど難しいのかは、他ならぬ岡田監督が誰よりも理解しているはずだ。目標に届かなかったときに、どのような視線を浴びるのかも。

 それでも目標として掲げたところに、自身2度目のW杯に挑む指揮官の「本気度」が読み取れる。選手も覚悟を決めている。どこまでも真剣に、ベスト4を目ざしている。かつてない大きな目標を掲げた日本代表の「意気込み」は、09年を象徴するトピックスとしてふさわしい。

【日本代表・Jリーグガイド:戸塚啓】

by momotaro-sakura | 2009-12-23 11:56 | ブログ