2010年 04月 28日
日立製作所、火力発電所からのCO2回収技術をフィンランド電力大手と開発
酸素燃焼は、石炭火力発電で通常使われる空気ではなく、酸素で石炭を燃焼させ、排出ガスの90%以上をCO2にすることで分離工程なしで容易に回収する技術。今回、炎を安定して維持するバーナーの開発を目指し、既設の500MWクラスの石炭火力発電設備に酸素燃焼システムを取り付ける方法を検討し、試験を実施した。
その結果、排気ガスが循環する部分の腐食を防ぐ独自システムを構築し、従来の酸素燃焼システムと比べてボイラーの改造費用を低減できることを実証した。さらに独自の熱交換システムを導入してCO2回収に必要な動力を低減し、効率低下を抑制。空気燃焼から酸素燃焼に切り替えた時や、出力を下げて運転しても炎を維持するバーナーを開発した。
CCSは、CO2を固めて地中や深海に埋める方法。大規模火力発電所からのCO2排出が問題視される中、効果的な手段として注目されている。日立は、CO2分離・回収市場が2020年までに累計3兆円、2030年までに同35兆円に成長するとみて技術開発を推進。2010年2月にカナダの電力公社からCCS実証プロジェクト向け蒸気タービンを受注したほか、ドイツやベルギーで共同研究・実証実験を行っている。(日経BP環境経営フォーラム)