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<福島第1原発>東電「貞観地震」の解析軽視

<福島第1原発>東電「貞観地震」の解析軽視
2011年3月26日 18時46分 (2011年3月27日 01時10分 更新)
産総研の研究チームが仮定した貞観地震の震源域と周辺で起きた過去の宮城県沖地震の震源域(産総研の図を基に2010年5月作成)

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 東京電力福島第1原発の深刻な事故原因となった大津波を伴う巨大地震について、09年の経済産業省の審議会で、約1100年前に起きた地震の解析から再来の可能性を指摘されていたことが分かった。東電は「十分な情報がない」と対策を先送りし、今回の事故も「想定外の津波」と釈明している。専門家の指摘を軽んじたことが前例のない事故の引き金になった可能性があり、早期対応を促さなかった国の姿勢も問われそうだ。

 09年6月、原発の耐震指針の改定を受け、電力会社が実施した耐震性再評価の中間報告書案を検討する審議会。869年に宮城県沖で発生したマグニチュード8以上とみられる「貞観(じょうがん)地震」を、岡村行信委員(産業技術総合研究所活断層・地震研究センター長)が「非常にでかいもの(地震)が来ているのが分かっている」と取り上げた。

 当初の報告書案はこの地震に触れていなかった。東電は「被害はそれほど見当たらない」と答えたが、岡村さんは、宮城県から福島県の広い範囲で浸水したという最新の研究から「納得できない」と追及。その後に提出された報告書案は「(貞観地震と同規模の揺れは)想定内」とし、現在の耐震構造で問題ないとの見方を示した。

 岡村さんは、04年のスマトラ沖大地震のように、幅広い震源域がほぼ同時に破壊する「連動型地震」を想定した対応を求めたが、審議会の事務局は「最終報告書で検討する」という形で収めた。

 ◇専門家「貞観の再来」

 多くの専門家は、東日本大震災を「貞観地震の再来」とみている。同研究所などは05年以降、貞観地震の津波による堆積(たいせき)物を調査。同原発の約7キロ北の福島県浪江町で現在の海岸線から約1.5キロの浸水の痕跡があったほか、過去450〜800年程度の間隔で同規模の津波が起きた可能性が浮かんだ。

 東電によると、現地で測定された地震動はほぼ想定内で、地震によるトラブルは少なかった。一方、非常用電源の喪失などの津波被害で、原子炉が冷却できなくなった。

 ◇「『想定外』は言い訳」

 東電の武藤栄副社長は25日の会見で「連動地震による津波は想定していなかった」「(貞観地震に対する見解が)定まっていなかった」と釈明。東電の対応に、岡村さんは「原発であれば、どんなリスクも考慮すべきだ。あれだけ指摘したのに、新たな調査結果は出てこなかった。『想定外』とするのは言い訳に過ぎない」と話す。
【須田桃子、藤野基文
毎日JP



2年前に「大津波危機」指摘も…東電、想定変更せず
東日本大震災

 
 平安時代の869年に起きた貞観津波の痕跡を調査した研究者が、福島第1原発を大津波が襲う危険性を09年の審議会で指摘していたことが26日、分かった。東電側は「十分な情報がない」として地震想定の引き上げに難色を示し、設計上は耐震性に余裕があると主張。津波想定は先送りされ、地震想定も変更されなかった。この時点で非常用電源など設備を改修していれば原発事故は防げた可能性がある。

 06年改定の国の原発耐震指針は、極めてまれに起こる大津波に耐えられるよう求めるなど大幅に内容を改めた。東電は、新指針に基づき福島第1原発の耐震設計の目安となる基準地震動を引き上げると保安院に報告。保安院は総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会で研究者らに内容の検討を求めた。

 委員で独立行政法人「産業技術総合研究所」の岡村行信活断層・地震研究センター長らが、宮城県などで過去の津波が残した地中の土砂を調査。貞観地震の津波が、少なくとも宮城県石巻市から福島第1原発近くの福島県浪江町まで分布していることを確認した。海岸から土砂が最大で内陸3~4キロまで入り込んでいた

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[ 2011年3月27日 06:00
by momotaro-sakura | 2011-03-27 14:47