2012年 06月 27日
<胆管がん>専門家交え協議会設置 印刷産業連合会
<胆管がん>専門家交え協議会設置 印刷産業連合会
2012年6月27日 01時46分 (2012年6月27日 02時32分 更新) 毎日新聞
大阪市の印刷会社の従業員に胆管がんが多発した問題を受けて、約9300社が加盟する印刷業界の最大組織、日本印刷産業連合会(東京都中央区)は26日、従業員の健康を守るため、専門家らを交えた協議会を設置することを決めた。来月に初会合を開く。最新の知見を反映した安全対策マニュアルを策定するほか、研修会を開催し、全加盟社に衛生管理や予防措置を徹底させる。大阪市と宮城県で労災認定を申請した従業員が計8人(うち2人死亡)に達し、業界として対策に乗り出した形だ。
協議会は有識者の他、業界10団体の会長ら20人で構成。厚生労働省や経済産業省の担当者も招く予定。
同連合会は86年、印刷会社向けに有機溶剤の使用時の注意点などを記した手引書を発行し、改訂を重ねてきた。しかし、今年5月、胆管がん多発の問題が発覚したことを受けて加盟社に緊急アンケートを実施。有機溶剤使用の有無と、労働安全衛生法に基づく安全衛生委員会の設置の現状、排気・換気装置の状況などを調べている。
26日に東京であった会合で、さらなる健康被害を未然に防ぐためにも専門家を交えた業界としての取り組みが必要と判断、協議会設置を決めた。
大阪と宮城で労災認定を申請した発症者は別会社だが、地下や窓を閉めた環境下で長時間作業した点が共通している。
連合会の油井喜春常務理事は「地域住民からも『印刷会社は大丈夫か』と不安を抱かれている。有機溶剤との因果関係ははっきりしないが、今回を機に予防を徹底したい」と話した。【高瀬浩平】