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反日過激デモ 中国政府はなぜ容認するのか

反日過激デモ 中国政府はなぜ容認するのか

(9月17日付・読売社説)
 中国の反日デモが拡大し、過激化している。

 憂慮すべき事態だ。

 日本政府が沖縄県の尖閣諸島を国有化したことに抗議するデモは、中国の約100都市に広がった。

 北京では日本大使館が投石され、地方都市では日系企業が襲撃された。デモの現場ではないが、日本人が暴行された例もあった。

 野田首相が抗議したのは当然である。日本政府は引き続き、中国政府に対し、邦人と日系企業の安全、財産の保護を徹底するよう求めなければならない。

 中国政府は、破壊行為に関わった容疑者を法に基づいて厳正に処分すべきである。

 デモと並行して、尖閣諸島の実効支配を崩そうとする中国政府の示威行動も目立つ。尖閣諸島周辺の日本の領海内に14日、中国の海洋監視船6隻が侵入した。中国公船が同時に6隻も侵入してきたのは過去に例がない。

 1972年の日中国交正常化以来、これほど中国が日本との間で緊張を高めたのは初めてだ。尖閣諸島を巡って日本に譲歩した、と国内で受け止められれば、共産党政権の威信が揺らぐと危機感を強めているのだろう。

 中国は、外務省報道官が「日本の誤った行為が強い義憤を引き起こしている」と反日デモへの理解を示し、商務省幹部も日本製品の不買運動を容認するかのような発言をしている。
 これが愛国教育世代の若者を煽あおり、行動の過激化を招いた。

 中国政府には、尖閣諸島国有化に反発する国民の怒りを対日圧力に利用する政治的思惑がある。

 だが、愛国的行為は罪に問われないとする「愛国無罪」のスローガンの下、破壊行為を正当化するのは法治の否定だ。特定国の製品の不買は自由貿易に反する。中国のためにもならない。

 満州事変の発端となった柳条湖事件から81年に当たる18日、各地では再びデモが呼びかけられている。邦人の生活や日系企業の営業活動への影響が懸念される。

 間もなく尖閣諸島沖に向け、中国漁船が大挙出港し、農業省の漁業監視船の護衛で、日本領海への侵入を図る可能性が高い。

 日本政府は海上保安庁による領海警備に万全を期すべきだ

 政府は、尖閣諸島は日本の領土であり、安定的に管理するための国有化であることを、国際社会に主張していかねばならない。 国民感情の対立を深めぬよう、日中両国は首脳レベルで、事態の沈静化に努める必要がある。

(2012年9月17日01時20分 読売新聞)
by momotaro-sakura | 2012-09-17 09:51