2013年 05月 30日
お茶から抽出されている色素は何か?
煎茶と、ほうじ茶と、抹茶を比べると、煎茶は一番色が薄く、ほとんど黄色なのに対して、ほうじ茶と抹茶は色が濃くてそれぞれ茶色と緑色です。抹茶の場合は、緑色なので、元々のクロロフィルが残っていると考えられます。抹茶の場合は、葉を粉にして、それがお湯に浮いている状態(懸濁状態と言います)になっているので、クロロフィルは水に溶けているのではなく、溶けないまま小さな粒の中に含まれてふらふらしているのでしょう。つまり、実際には、葉から抽出はされていない、ということですね。ほうじ茶の場合、濃い色がでますが、抽出された色は緑色ではなく、茶色です。これは、クロロフィルが熱などによって分解して、その分解産物(茶色なのでしょう)は水に溶けるようになった、と考えるとよく説明できます。煎茶の場合は、ほうじ茶に比べると、お茶の製造工程での処理がマイルドなため、おそらく、その分解産物の量が少なく、色が薄いのでしょう。抽出された色は緑と言うよりは、黄色に近いと思いますので、少なくともクロロフィルそのものの色ではないでしょう。煎茶の主成分は、アミノ酸類、カテキン類とカフェインだといわれています。この中で、カテキン類は短波長の領域に吸収を持ちますからその色かも知れません。ただし、カテキン類は光合成色素ではありません。
水溶性成分(20~30%)
成分
効能
含有率
カテキン類(渋み成分)
●抗酸化作用
●血中コレステロール低下作用
●血圧上昇抑制作用
●血糖上昇抑制作用
●抗菌・殺菌作用
●抗ウイルス作用
●虫歯・口臭予防(脱臭作用)
●発ガン抑制作用
●抗腫瘍作用
●突然変異抑制作用
11~17%
カフェイン(苦味成分)
●覚醒作用
●強心作用
●代謝促進
●利尿作用
1.6~3.5%
テアニン(甘み・旨味成分)
●リラックス効果
0.6~2%
フラボノール類
●口臭予防
●血管壁強化
約0.6%
複合多糖類
●血糖低下作用
約0.6%
ビタミンC
●抗壊血病
●抗酸化作用
●抗がん作用
●免疫機能改善
●ストレス解消
●白内障予防
●シミ、ソバカスの抑制
●風邪予防
0.3~0.5%
γ-アミノ酪酸(GABA)
●血圧降下作用
約0.01%
サニポン
●抗喘息
●抗菌作用
●血圧上昇抑制
0.2%
ビタミンB2
●口角炎
●皮膚炎防止
●脂質過酸化抑制
1.2mg%
食物繊維
●抗がん作用(大腸がん)
●血圧上昇抑制
3~7%
ミネラル類
●味覚異常防止
●免疫機能低下抑制
●皮膚炎防止
●虫歯予防(フッ素)
●抗酸化作用
1~1.5%
水不溶性成分(70~80%)
成分
効能
含有率
食物繊維
●抗がん作用(大腸がん)
●血圧上昇抑制
30~44%
たんぱく質
●栄養素(体構成成分)
24~31%
脂質
●栄養素
(細胞の構成成分、エネルギー源)
3.4~4%
クロロフィル
●消臭効果
0.6~1%
ビタミンE
●溶血防止
●脂質過酸化抑制
●抗がん作用
●抗糖尿
●血行促進
●白内障予防
●免疫機能改善
0.02~0.07%
コエンザイムQ10
●老化予防
●美肌効果
約0.01%
β-カロチン
●抗酸化作用
●抗ガン作用
●免疫機能改善
●ビタミンA生成源
約0.02%
ミネラル類
●抗酸化作用
4~5%
香気成分
●アロマテラピー効果
1~2mg%
お茶の味を決める3つの成分
煎茶の味は、適度な渋味、苦味と旨味、甘味があって調和がとれ、後味に清涼感のあるものが美味しいとされています。
これらの味を決める成分としては、カテキン類、アミノ酸類、カフェインが代表的なもので、特にカテキンとアミノ酸とのバランスにより味が大きく左右されます。
1. カテキン類
ポリフェノールの仲間であり、エピカテキンやエピガロカテキンは渋味は弱いが苦味があり、そのガレートタイプのものは苦渋味が強いが、不快感がなく、口中を爽やかにすると言われています。玉露や抹茶はカテキンが少ないため苦渋味が弱く、ほうじ茶は高温処理でカテキンが酸化変性を受けて減少し、苦渋味が弱くなります。
2. アミノ酸類
旨味や甘味を決める成分でもあり、緑茶には約20種類含まれています。なかでも、テアニンは煎茶に含まれるアミノ酸の約60%を占め、味の決定に重要視されています。また、その他のアミノ酸類も甘味や旨味に関与するものが多く、それらの量的バランスにより複合された味が作り出されています。
3. カフェイン
独特の苦味を持ち、熱水に良く溶ける性質を持つため、高温の湯で入れたお茶は苦味が強くなります。