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[菜]の意味

”菜”には以下の思いが込められています。

【菜】
《画数》11画(12画・14画:一部流派)
【解字】草かんむり(艸)+采(サイ)で、音符の采は、とるという意味で、採取して食べる草として、菜という漢字が作られた。
◎多くの漢和辞典や漢字辞典では、「菜」の成り立ち(解字)をこのように解説していますが、前回の「陽」と同じように、単純すぎる解釈です。もちろん、「采(サイ)」という漢字には、採取の「採」という漢字にも使われているように「とる」という意味もあります。「采(サイ)」は人名漢字に採用されていて、その名乗り(名のり)には、「あや」・「うね」・「こと」などの読みがあります。「菜」の字義を明らかにするには、「采(サイ)」の字義を知る必要があります。

◎「采 (サイ)」という漢字は、「爪かんむり」と「木」から成り立っています。「爪かんむり」の「・」は手の象形で、“つかむ”、“とる”という意味を表すというのが、多くの辞典類の字義になっています。しかし、このほかに、“集める・集まる”や“寄る・寄せる”という集合体を示す意味もあるのです。木の上に集まっているものは、葉や花であり、その一つひとつの微妙な色合いの違いが、木々に彩(いろど)りを添えるのです。そういう字義から、「采(サイ)」という漢字には、「とる」、「領地」、「いろどり」、「すがた(風采)」、「官職」、「みつぎもの・贈答品」、「やさい」などの意味があるのです。

◎「采(サイ)」の字義を「菜」の
持つ意味に展開すると、草花や木々の葉の彩(いろど)りを表現している漢字であることが分かります。ですから、「採取」という熟語には、いろんなもの、色とりどりのものを取るという意味があるのです。ですから、冒頭の字義にある「採取して食べる草」という字義の解釈には、無理があります。なぜなら、さまざまな草花は、人間の健康を維持するものとして、煮たり焼いたり煎じたりして摂取されてきました。「白菜」や「青菜」以外にも、春の七草や秋の七草などの「菜」として呼ばれない“草”も、いにしえの時代から食されてきたのですから。

◎「采(サイ)」や「菜」という字には、さまざまな色や物の集合体を表す意味とともに、整ったありさまやバランスが取れている状態を示す意味もあります。漢方薬の多くは、植物から採取したものを調合しています。医食同源という言葉にもあるように、中国の食事は心身のバランスを整えるものとして作られてきました。中でも、薬膳と呼ばれるものの大半は、草花を原料として使っています。ですから、メニューという言葉は、中国語で“菜単”と書かれるのです。

◎ですから、「菜」という漢字が持つ意味をまとめると、彩りがあってバランスも整ったものとか、バランスを整えるものという字義を持つということです。この漢字は、中国思想の本質であり、バランスが取れていることを意味する「中庸」という言葉に結びつくものなのですね。「菜」は、『たまひよ2006年名前ランキング』の「漢字ランキング」部門で、女の子の名前の人気漢字で2位にランキングされています。「名前ランキング」では、「陽菜」ちゃん、「結菜」ちゃん、「愛菜」ちゃん、「優菜」ちゃん、「菜々美」ちゃん、「日菜」ちゃん、「春菜」ちゃん、「菜々子」ちゃん等など、多く使われている人気の漢字です。周囲の漢字との相性も良いものが多く、オススメの名付け漢字です。
by momotaro-sakura | 2015-01-02 14:54